昨年末の衆議院選挙前から動き出したアベノミクスは、円高デフレを反転させ、社会福祉負担を何でも企業に押し付ける風潮を変え、“お花畑”外交を現実路線に引き戻し、国民が久々に前向きになった点において素直に評価してもよいでしょう。
また、安倍さんは外務大臣並みに諸外国を飛び回りました。2020年の東京オリンピックを誘致できたのも、関係者の努力に加えて日本経済に勢いが戻り、日本の首相の名前が久々に海外で覚えられるようになったことも大きく影響したものと思われます。
■“決める政治”だったアベノミクスの1年
一部のメディアはずっと安倍政権の「これがまだ」、「あれがだめ」と報道しています。しかし、この20年で醸成された“政治は停滞するもの”という感覚と比べれば、安倍政権の1年は大多数の事前の予想以上に多くのことを成し遂げています。与党内の足の引っ張り合いや閣僚のスキャンダルばかりが目に付いた1年前までとは大違いです。
総花的な選挙公約よりも内容が分かりやすい「3本の矢」でいえば、第一の矢の金融緩和・円高是正は黒田総裁の人選も当たって、大幅な円安・株高となりました。「第2の矢」の財政出動は地方経済を急速に立ち直らせつつあります。「第3の矢」の成長戦略と「第4の矢」とも言われる2020年東京オリンピック関連のインフラ整備はこれからですが、将来への期待を持たせる効果は出始めています。
他にも、日米関係強化、TPP協議参加決定、防衛力強化・海上警備力増強、国家安全保障会議創設、大学入試改革、ロシアとの関係改善、減反政策の見直し、インターネットでの薬品販売(一部)解禁、ネット選挙、指定都市での特別区、福島汚染水・除染への国の積極的な関与、トルコ・タイ・ベトナムでの大型商談への政府支援など、実行済みや方向性を示したものを含めると“出来過ぎ”といえる程の成果です。
もちろん、道州制導入や社会保障制度改革のように立ち消えになってしまったもの、法人税減税、少子化対策や北朝鮮拉致問題のように実現の方向性が見えないもの、集団的自衛権行使、憲法改正といった自民党が目指す政策で連立政権内でも合意に至っていないものなどもあります。
ただ、選挙公約でも当初から5年程度を想定しているので、“決める政治”は十分機能しているといえるでしょう。
■2年目のアベノミクスは不安がいっぱい?
今のところ順調に成果を出してきたアベノミクスですが、これから先は国内外で様々な荒波が待ち受けていそうです。
●2014年消費税増税後の景気減速
約7.5兆円の増税が景気に冷や水を浴びせるだけでなく、駆け込み需要と反動減が多くの企業で経営課題となります。「需要の先食いだけなので問題ない」というのは机上の空論で、反動減の時期も工場や店舗を閉める訳には行きません。反動減対策で5兆円使うと言っていますが、今年初めの10兆円の緊急経済対策がなくなることに加え、来年度予算の総額を3兆円減額すると景気減速を避けるのは難しくなりそうです。
●安倍さんの健康状態悪化
安倍さんはスーパーマンではありません。あれだけ外遊が多いと、疲労がかなり蓄積しているはずです。仮に前回のような形で首相が突然交代すれば、「次はオレ」と考える与党の有力者間で内紛が再発するでしょう。また次期首相や有力閣僚の失言が再び常態化すれば内閣支持率は低下し、決められない政治に逆戻りです。
●米国量的緩和縮小
早ければ2014年春にも米国が量的緩和縮小を開始するかもしれません。そうなると、今年の5月の株価暴落の再来もありえますし、新興国景気を一層冷やすことになりかねません。
●中国の不動産バブル崩壊
中国政府は今のところバブル延命に成功していますが、あと何年持つかが問題です。しかも中国は漢民族が少数民族を支配する多民族国家です。仮に経済危機となれば、抑圧されているウイグルやチベットでの分離独立運動が激しくなり、ソ連型の国家分裂も現実味を増します。長期的には民主的な国家が中国大陸にできることは日本の国益となりますが、短期的には中国依存が大きい企業を中心に株価暴落は必至といえるでしょう。
●イラン原子力施設へのイスラエル空爆
イランが原爆製造に適した重水炉を完成させそうです。米国はシェールガス開発によって中東への興味と関心を失いつつあり、イスラエルのイラン攻撃の可能性が増しています。仮にイスラエルによるイラン爆撃で第3次石油ショックが起これば、世界景気を冷やすだけでなく、原発停止中の日本経済には痛撃となり、アベノミクスは霧消してしまいます。
■給料とお小遣いが上がるのはいつ?
大多数の国民にとって気になるのは大上段に構えた話ではなく、「物価はどうなるのか」、「給料はいつ上がるのか」、「年金は減ってしまうのか」、という目に見える変化でしょう。まず物価ですが、円安分は既に転嫁されつつあり、来年4月以降は消費増税分が確実に値上がりします。
給料は業界によって差が大きく出ますが、一般論を言えば景気拡大の後半になって人不足にならないと上がりません。つまり、あと1~2年順調な景気拡大が続き、建設現場から地方の工場まで人手不足が経営課題となり、社用族やオーナー社長が各地の繁華街で“ブイブイいわす”ようになってからです。
年金はインフレで目減りするマクロスライド制度がようやく機能し始めるので、ほうっておいても実質的に減ります。そうなると、何もしなければ可処分所得は当面減り、お小遣いは増えるどころか減るばかり、増えるとしても景気の先行き任せでそれも数年後となりそうです。
■それなら、こうしてお小遣いを増やす!?
アベノミクスが順調でも隅々まで恩恵が行き渡るまで数年かかり、内外の懸念が現実となって景気後退となれば生活が苦しくなるだけであれば、自分でお小遣いを増やすことを考えましょう。これから1年程度でのお小遣いアップ・副業ネタにはこんなものがありそうです。
●資産運用は合同会社で
株式の配当や譲渡益にかかる税率が2014年から倍増し20.315%になります。また、これはFXやeワラントの運用益とは損益通算できません。ところが法人で運用すれば合算できます。合同会社なら1人でも簡単・安価に設立できますが、もっと経費を節約するなら親族や信頼できる知人と共同設立するのもよいでしょう。その他の起業のメリット・注意点はお知り合いの税理士に相談するか、ググって調べてみましょう。
●米国金融緩和縮小を狙う
各国の株価が大幅に下落し、ドル高になると予想するなら、来年3月か4月に観測記事が出始めたら米ドルロングポジションを採ったり、NYダウプットを購入するのも一案です。
●第3次石油危機に備える
イランの重水炉が試験稼動すると言われている3月前にWTI原油コールを購入したり、原油連動のETFを購入してじっくり待つという手があります。
●株主優待銘柄でちょこっと儲ける
2014年1月から始まるNISA(非課税投資制度)に加えて、ビギナーが株式市場に参戦しつつあります。そうなると株主優待銘柄の人気がさらに高まる可能性があるので、今から仕込んで株主優待をもらう権利が発生する直前に売り逃げましょう。3,000円の優待欲しさに3万円の利益を取り逃がすことなどない様に!
●北朝鮮の日用品・切手を仕込む?
日本政府が北朝鮮の日本人拉致問題解決を両国と関係が良好なモンゴルにとりもってもらっているとの見方が一部にあるようです。また安倍さんは、拉致問題解決を従来から重視しています。これが解決すれば、“千年恨む”南よりも北朝鮮との関係が良好になり、日本の対北朝鮮経済制裁が緩和されるかもしれません。
そうなったら北朝鮮の様々な日用品や切手・硬貨を集め、数年後にネットオークションで高値が付きそうなものがあるかも(なお、現時点ではわが国独自の経済制裁の一環として北朝鮮産品の日本への輸入が禁止されています)。
●ロシア語の勉強を始める?
安倍さんとプーチンさんの個人的な信頼感が醸成されているとすれば、来年にも北方領土問題が解決され、日露平和条約が締結されることもありえます。その時に備えて、ロシア語の勉強を始めてみましょう。ロシア関連のビジネスのネタが見つかるかもしれません。
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(土居 雅紹)
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