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化粧品の輸入販売(6)-総括製造販売責任者及び責任技術者

 製造販売業には総括製造販売責任者を、そして、製造業には責任技術者をそれぞれ設置しなければならないことは前稿で述べました。総括製造販売責任者は自社が製造販売する製品の品質管理及び製造販売後の安全管理をするために置かれた者であり、また、責任技術者は自社が製造する製品の品質及び安全性を実地に管理するために置かれた者です。それ故、両者にはその業務を行い得る知識や経験が要求されます。以下、両者に要求される法定資格と具体的な業務責任・権限について述べさせていただきます。


1.総括製造販売責任者

(1) 法定資格(薬事法施行規則第85条第2項に基づく基準)

一.薬剤師

二.旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者

三.旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者

四.厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

 (2)業務責任(薬事法施行規則第87条に基づく遵守事項)

一.品質管理及び製造販売後安全管理に関する法令及び実務に精通し、公正かつ適正に業務をおこなうこと

ニ.当該業務を公正かつ適正に行うために必要があると認めるときは、製造販売業者に対し文書により必要な意見を述べ、その写しを五年間保存すること

三.医薬品等の品質管理に関する業務の責任者(品質保証責任者)及び製造販売後安全管理に関する業務の責任者(安全管理責任者)との相互の密接な連携を図ること


2.責任技術者

(1) 法定資格(薬事法施行規則第91条第2項)

一.薬剤師

二.旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者

三.旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品又は化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者

四.厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

(2) 業務責任

  化粧品責任技術者の業務責任(義務)は薬事法第17条第6項で薬事法第8条第1項の規定(薬局の管理者の義務)を準用すると定めています。薬事法第8条第1項の規定を化粧品製造業の責任技術者として読み替えると次のようになります。

 「化粧品製造業の責任技術者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その製造所に勤務する薬剤師その他の従業員を監督し、その製造所の構造設備及び化粧品その他の物品を管理し、その他その製造所の業務につき、必要な注意をしなければならない。」


 次回は化粧品本体及び包装等に義務づけられている表示事項についてお話させていただきます。


ジェトロ認定貿易アドバイザー試験合格(合格者番号261)
薬事法有識者会議認定 薬事法管理者
貿易アドバイザー 矢野鎮雄(矢野国際ビジネス代表)

化粧品の輸入販売(5)-製造販売業と製造業

 前回と前々回の2回にわたり輸入販売手続きについてご説明いたしましたが、いかがですか。随分ややこしくて大変だとお思いになったと思います。かなり詳細、かつ、解り易くご説明したつもりですが、それでもなおよく解らないとお思いの方々もいらっしゃるでしょう。こんな手続きはよく解からないし、面倒くさくてやっていられないという方(企業)には貿易アドバイザーが手続き代行もいたします。

ところで、この輸入販売手続きの記事のなかで、「製造販売業」と「製造業」という用語がでてきましたね。いったい、「製造販売業」と「製造業」とはどう違うのでしょうか。

 「製造販売」という用語と概念は平成17年の薬事法改正で新しく導入されたものです。

化粧品に限らず、医薬品、医薬部外品、医療機器といった薬事法対象品に共通して適用される用語であり、概念です。

 この平成17年改正薬事法の第2条12では「製造販売」を次のように定義しています。

‘この法律で「製造販売」とは、その製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない)をし、又は輸入をした医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を、それぞれ販売し、賃貸し、又は授与することをいう。’

つまり、「製造販売」とは他者により製造された、又は他に委託して製造した、或いは輸入した医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を販売したり、賃貸したり授与することを言います。ここでの「販売」とは市場に出荷する元売り行為を意味し、「賃貸」は医療機器の場合にのみ発生する行為ですが、医療機器を医療機関に有料で貸し出しする行為です。授与は無償で提供する行為です。

 改正前の薬事法では、製造業は自ら保有する製造所において製造し、市場に販売する行為を行う者として位置づけられ、製造業者は自ら製造し、その製造した製品を市場に販売することができました。したがって、市販後の安全責任も製造業が負っていました。改正薬事法では「市場に販売する行為」を製造業から分離し、新たに製造販売業という、製造所の保有を前提としないで製造と販売を行う業態及び許可体系を設けたのです。この改正により、製造業は製造のみに特化した業態として位置づけられ、市場への販売はできなくなりました。そして、製造販売業は自ら化粧品の製品開発者として製造業者に委託して製品化し、或いは海外から化粧品を輸入し、これを販売することができる業態として位置づけられました。


 このような改正を行った意図は、製造設備を持たない化粧品の製品開発者でも製品化し自ら販売できる方途を設け、優れた研究開発技術やアイデアの製品化を促し、様々な産業技術・科学具術の応用による多種多様な製品の提供を促進する狙いと、市場への販売行為を製造業から分離し、市販後の安全対策をより一層充実させたいということにあり、重点はむしろ後者にあります。それ故、製造販売業には安全な製品の市場への提供という市場責任と市販後の安全対策が従来の製造業より一層厳しく求められます。

 なお、平成17年の薬事法改正前は輸入品に関しては「輸入販売業」という独立した業態がありましたが、改正後は製造販売業に統合されました。したがって、輸入販売業者は薬事法上は製造販売業者として、市場に出荷した製品の安全に関し一切の責任を負うことになります。

以下、製造販売業者及び製造業者の義務と責任について詳しくご説明いたします。

1.製造販売業者の義務・責任

 製造販売業者は、その取り扱う製品についての市場に対する責任者ですから、他者に製造委託している場合や輸入している化粧品についても、その品質を確保する責任があります。また、消費者からの情報や、使用している成分等の情報を広く収集・評価して、製品の安全性を常に確保する必要があります。必要な場合には健康被害の発生を未然に防ぎ、拡大を防止して消費者を保護するために、製品の回収を行う必要があります。そして、製品の品質管理及び製造販売後安全管理を行わせるために、法に定める基準に該当する資格を有する総括製造販売責任者を設置しなければなりません(薬事法第17条第1項、施行規則第85条第2項)。以下が製造販売業者の具体的義務・責任です。

(1) 品質管理

 製造販売する製品について、適正な品質を確保するために、法に定める基準に従って、品質管理にかんする業務を行わなければなりません。(平成16年9月22日厚生労働省令第136号「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」)

(2) 製造販売後安全管理

 製造販売している製品について、品質・有効性及び安全性に関する事項・その他適正な使用のために必要情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置を、法に定める基準に従って、とらねばなりません。(平成16年9月22日厚生労働省令第135号「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器」の製造販売後安全管理の基準に関する省令))

(3) 消費者への情報提供

 消費者の問い合わせに対して的確な情報提供ができるよう、以下の体制を整備する必要があります。

 (イ)問い合わせ先の公表、(ロ)相談窓口の設置、(ハ)製品に関する情報の管理

(平成12年9月29日医薬発第990号、平成13年3月6日医薬審発第163号・医薬監麻発第220号通知)

(4)副作用等の報告

 製造販売した化粧品について、有害な作用が発生するおそれがあることを示す研究報告を知ったときは、30日以内にその旨を厚生労働大臣に報告しなければなりません。(報告書提出先:医薬品医療機器総合機構安全部安全性情報課、薬事法第77条の4の2、施行規則第253条)

(5)回収の報告

 製造販売した化粧品の自主回収に着手したときは、速やかに厚生労働大臣に法で定める事項報告しなければなりません。(報告書提出先:都道府県薬事担当部署、薬事法第77条の4の3、施行規則第254条)

2.製造業者の義務・責任

 化粧品の製造業者は、化粧品の製造を実地に管理させるために、製造所ごとに、法に定める資格を有する責任技術者を置かねばなりません。(薬事法第17条第5項、施行規則第91条第2項)

 次回は本稿及び前稿でも触れた総括製造販売責任者と責任技術者のその責務と法定資格についてお話させていただきます。


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薬事法有識者会議認定 薬事法管理者
貿易アドバイザー 矢野鎮雄(矢野国際ビジネス代表)


化粧品の輸入販売(4)-輸入販売手続き(個々の手続き詳細)

前回は輸入販売の手続きを包括的に眺め、概要をご説明いたしましたが、本稿では個々の手続きについてより具体的にご説明いたします。

1.化粧品製造販売業の許可申請

 まず、許可申請する事業所所在地の都道府県薬事担当部署を経由して厚生労働省へ業者コード登録票を提出し、コード番号の付番(許可番号ではない)を受けてから、そのコピーを付けて、許可申請書を同じ事業所所在地の都道府県薬事担当部署を通して当該都道府県知事宛に提出します。申請書は様式第九で作成するか、FD申請ソフト(様式番号A03)で作成します。記載事項は主たる機能を有する事務所の名称及び所在地、許可の種類(化粧品製造販売業許可と記載)、総括製造販売責任者の氏名・住所及び資格(薬事法第85条第1項から第4項のいずれに該当するかを記載)、申請者(業務を行う役員)の欠格条項(4つの欠格条項があるが、当該事実がないときは「なし」と記載)です。

 申請に際しては、次の書類を添付する必要があります。

(1) 登記事項証明書(発行後6ヶ月以内のもの)

(2) 業務分掌表(業務を行う役員の範囲を具体的に示す書類)

(3) 申請者の医師の診断書(業務を行う役員の「精神機能の障害又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者でない」旨の診断書)(発行後3ヶ月以内のもの)

(4) 組織図

(5) 総括製造販売責任者の雇用証書

(6) 総括製造販売責任者の資格を証する書類

(7) 品質管理に係る体制に関する書類

(8) 製造販売後安全管理に係る体制に関する書類

(9) 配置図(同一敷地又は建物における、自社と他社使用部分を明示したもの)

(10)営業所、保管設備に関する図面(営業所内で製品を保管する場合)

(11)事務所の案内図

 なお、化粧品製造販売業許可の申請料は57,400円です。

2.化粧品(外国製造販売業者・外国製造業者)の届出

 様式第百十五の書式で届書を作成し、医薬品医療機器総合機構を経由して厚生労働大臣宛に提出します。外国製造販売業者を通して輸入したのか、外国製造業者から直接輸入したのかの区分を明確にし(該当しない方を二重線で消すか、該当する方を○で囲む)、品目の名称ならびに該当する外国業者(代表者)の氏名及び住所、外国業者の事務所又は製造所の名称及び所在地を記載します。この届書は正本1通と副本2通を提出します。

3.化粧品製造販売の届出

 様式第三十九(一)の書式で届書を作成し、事業所所在地の都道府県の薬務担当部署を通して知事宛に提出します。記載事項は製造販売業の許可の種類(化粧品製造販売業の許可と記載)、許可番号及び年月日、化粧品の名称(一般的名称及び販売名)、成分及び分量又は本質、製造方法、用法及び用量、効能又は効果、貯蔵方法及び有効期間、規格及び試験方法です。なお、承認を要する化粧品(下記「6.化粧品の製造販売の承認申請」を参照)の場合には、製造販売する品目の外国製造所の名称、所在地、許可又は認定の区分(認定と記載)、認定番号も記載しなければなりません。この届書は正副2通を提出します。

4.製造販売用化粧品輸入の届出

 様式第五十の書式で届書を作成し、事業所所在地を所轄する厚生局(関東信越厚生局又は近畿厚生局)に提出します。輸入する製品のカテゴリー(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器)を特定(化粧品以外を二重線で消すか、化粧品を○で囲む)し、輸入しようとする品目の名称、許可の種類(化粧品製造販売業許可と記載)、許可番号及び年月日、外国において当該品目を製造する製造所の名称及び所在地を記載します。化粧品の場合は外国製造業者の認定区分蘭及び外国製造業者の認定番号蘭への記載は不要です。この届書は正副2通を提出します。

5.化粧品製造業の許可申請

 輸入した化粧品の包装や表示を国内で国内向けに変える場合や、輸入した化粧品を事業所内に保管する場合は、製造業の許可が必要です。化粧品製造販売業許可申請のときと同様に業者登録票を提出し付番を受けてから、申請書様式第十二で作成するか、FD申請ソフト(様式番号B03)で作成し、事業所所在地の都道府県薬務担当部署を通して当該都道府県知事宛に提出します。記載事項は製造所の名称及び所在地、許可の区分(化粧品 包装表示・保管と記載)、製造所の構造設備の概要、管理者又は責任技術者の氏名及・住所及び資格、申請者の欠格条項です。この申請には次の書類の添付も必要です。(1)業務分掌、(2)責任技術者の雇用証書、(3)責任技術者の資格を証する書類、(4)構造設備の概要一覧表、(5)製造設備器具一覧表、(6)試験検査器具一覧表或いは他の機関等の利用概要(他の試験検査機関を利用する場合。契約書の写し等も添付)、(7)製造所の配置図、(8)製造所の平面図(保管場所として棚を利用する場合は、その立体図)、(9)製造所の案内図。なお、本来、登記事項証明書、診断書、卒業証明書の添付も必要であるが、製造販売業許可申請書にこれらの書類が添付されている場合には、製造業許可申請書への添付は省略できます。その場合には備考欄にその旨を記載してください。

なお、包装・表示・保管のための化粧品製造業許可の申請料は32,800円です。

6.化粧品の製造販売の承認申請

 輸入する化粧品が化粧品基準に適合しない成分を含有する場合や、非開示成分を含有する場合には、当該化粧品の製造販売について厚生労働大臣の承認(外国製造化粧品製造販売承認)も必要です。この承認申請は化粧品を輸出する外国製造販売業者或いは外国製造業者が選任した本邦の製造販売業者(当該外国輸出業者よりその製品を輸入販売する者、薬事法上はこれを「選任製造販売業者」という)を通じて行います。

7.輸入申告

 通関業者を通じて、輸入申告をします。申告に際しては上記手続書類のコピーのほか、製品により薬事法以外の輸入規制がある場合は、それらに関連する通関に必要な書類も添えます。


 前回及び今回の輸入販売手続きで、化粧品を輸入販売するには、何はともあれ、製造販売業の許可が必要なことがお分かりになったと思いますが、「製造販売業」とは別に「製造業」という用語も出てきました。いったい両者はどう違うのでしょうか。次回は製造販売業と製造業について両者の業務を分離した意義とそれぞれの業務内容と責務について詳しくご説明いたします。


ジェトロ認定貿易アドバイザー試験合格(合格者番号261)

薬事法有識者会議認定 薬事法管理者

貿易アドバイザー 矢野鎮雄

化粧品の輸入販売(3)-輸入販売手続き(概要)

化粧品の輸入販売(3)-輸入販売手続き(概要)




お待たせ致しました。化粧品輸入販売シリーズの第3弾は化粧品を輸入販売するための手続きについてです。いろいろな手続きが必要ですが、まず、手続き全体の概要説明をいたします。


 化粧品を輸入販売するためには以下の手続きが必要です。


(1) 化粧品製造販売業の許可申請(様式第九)


厚生労働大臣による化粧品製造販売業の許可が必要です。もっとも基本的手続きです。この許可の取得がなければ以下の手続きをする意味がありません。この許可は5年間有効です。手順としては、まず、業者コード登録票を都道府県の薬事担当部署に提出し、業者コードの連絡を受けてから、化粧品製造販売業許可申請書を添付書類とともに都道府県知事に提出します。申請者の欠格事項や総括製造販売責任者の設置など法に定められた基準に適合するか審査のうえ、知事が大臣に代わり許可書を交付します。


(2) 化粧品(外国製造販売業者・外国製造業者)の届出(様式第百十五)


輸入する化粧品の外国製造販売業者届書あるいは外国製造業者届書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下総合機構と略します)に提出し、総合機構を経由して厚生労働大臣による、副本の交付を受けます。


(3) 化粧品製造販売の届出(様式第三十九()
輸入販売する製品(品目)の届書を都道府県の薬務担当部署に提出し、副本の交付を受けます。


(4) 製造販売用化粧品輸入届出(様式第五十)


製造販売用化粧品輸入届書を所轄の厚生局(関東信越厚生局あるいは近畿厚生局)に提出し、副本の交付を受けます。


(5) 輸入申告


輸入通関する税関に輸入申告書と共に上記(1)の許可書及び(2)、(3)、(4)の届出書副本のコピーを添付して申告します。


 なお、輸入した化粧品の包装や表示を国内で国内向けに変えることや、輸入した化粧品を保管することは薬事法上化粧品の製造に当たり、別途、製造業の許可(申請書様式第十二)が必要です。ただし、輸入販売する者が必ずしも製造販売業許可と製造業許可を併せて取得する必要はなく、国内向け包装・表示及び保管を製造業の許可を得ている者に委託してもかまいません。


 各申請書様式や届出書様式は法令様式販売所で入手できます。また、製造販売業許可申請および製造業許可申請は厚生労働省の医薬品等電子申請(通称FD申請)ソフトをダウンロード(ダウンロード・ホームページのアドレス:http://www.fd-shinsei.go.jp
)して作成することができます。


 化粧品のうち、エアゾール・タイプのものは輸入申告に際して上記手続き書類のコピーのほかに高圧ガス保安法の適用除外品であることの確認書及びそのことを証明する試験成績書のコピー添付が必要です。また、泥パック及び天然植物をそのまま(病原菌・害虫の駆除処理をせず)使用している化粧品については植物防疫にもとづく検疫にパスしていることの証明書のコピー添付が必要です。




 次回は個々の輸入販売手続きについて詳細にご説明いたします。

貿易アドバイザー(ジェトロ認定アドバイザー試験合格、認定番号261)
薬事法有識者会議認定 薬事法管理者 矢野鎮雄

化粧品の輸入販売(2)-成分規制

化粧品の輸入販売(2)- 成分規制




 前回に引き続き、今回は化粧品の成分規制についてお話させていただきます。


化粧品に使用される成分は化粧品基準(平成12年厚生省告示第331号)に適合したものでなければなりません。輸入する前に化粧品に含まれている成分を調べ、配合禁止成分や、配合制限成分で基準を超える成分が含まれていないか確認してください。以下が化粧品基準に掲げられている規制成分です。


(1) (2)以下に掲げるもの以外で、第1種特定化学物質や第2種特定化学物質あるいは感染のおそれがあるものなど、その使用によって保健衛生上の危険を生じるおそれのあるもの(使用禁止)


(2) 医薬品に使用される成分(使用禁止、ただし、医薬品の添加剤としてのみ使用される成分は除く)。


(3) 生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)に適合しないもの(使用禁止)。


(4) 化粧品基準別表第1に掲げる成分(すべて使用禁止)。


(5) 化粧品基準別表第2に掲げる成分でその配合量がリスト記載の範囲を超えるもの(制限配合量の超過禁止)。


(6) 防腐剤は化粧品基準別表第3に掲げる物で、リスト記載の配合量の範囲内に限られる(掲載物に限り使用許可、配合量の制限あり)


(7) 紫外線吸収剤は化粧品基準別表第4に掲げる物で、リスト記載の配合量の範囲内に限られる(掲載物に限り使用許可、配合量の制限あり)。


(8) タール色素は「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年厚生省令第30号)に掲げるものに限られる(赤色219号および黄色204号については毛髪および爪のみに使用することであれば配合可)。


(9) グリセリンを化粧品に配合する場合は、グリセリン100g中に含まれるジエチレングリコールの量が0.1g以下であるグリセリンでなくては使用できない。




ところで皆さんは化粧品の成分規制に関して、ネガティブリストとかポジティブリストといった用語を見聞きしたことはありませんか。ネガティブリストとは上記(4)、(5)のリストを指します。つまり、使用が禁止または使用が制限される成分のリストです。一方ポジティブリストとは上記(6)、(7)、(8)のリスト指し、これらリストに掲載されているもののみが防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素としての使用が許可されています。




上記の規制に違反しない限り、どんな成分が含まれていようとも、薬事法上は企業責任において輸入販売することができますが、安全性の確認は十分に行ってください。有害成分による事故が発生したときには輸入者(製造販売業者)は製造物責任(Product LiabilityPL)を負わされる危険性があります。なお、化粧品はすべての配合成分を製品に表示しなければなりません(全成分表示して、消費者自身に記載された成分からその安全性、適合性を自主的に判断させる趣旨)。




 ところで、上記規制成分の中の第1種特定化学物質や第2種特定化学物質とは「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(昭和481016日法律第117号、略して化審法ともいう、下記参考URL参照)に基づいて指定された物質で、そのリストは環境省ホームページの「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」サイトから入手できます。また、医薬品に使用される成分は「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和4661日 薬発第476号、厚生省薬務局長通知、下記参考URL参照)で例示されています。例示リストに掲載されていない物質で医薬品成分に該当するか否かについては厚生労働省薬務局あるいは都道府県の薬務担当部署にお問い合わせください。




 化粧品の成分表示の仕方、効能・効果、使用上の注意、その他化粧品の表示に関する規定については別途詳述させていただきます。




参考URL


(1)厚生労働省法令等データベースシステム


http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html


   このシステムの[法令検索]の[本文検索へ]をクリックし検索語設定欄に‘化粧品基準’、‘生物由来原料基準’、‘医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令等’と入力し検索実行すればそれぞれ求める基準や省令を表示・閲覧することができます。また、このシステムの[通知検索]から同様に‘無承認無許可医薬品の指導取締りについて’と入力し検索実行すれば同通知を表示・閲覧できます。


(2)化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律


   http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO117.html


(3)環境省ホームページの「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」サイト


   http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/kashinkaisei.html




 次回は化粧品の輸入販売をするのに必要な手続きについてお話させていただきます。

貿易アドバイザー(ジェトロ認定アドバイザー試験合格、認定番号261)
薬事法有識者会議認定 薬事法管理者 矢野鎮雄

化粧品の輸入販売(1)-はじめに

化粧品の輸入販売(1)-はじめに

 

 海外に旅行した際、日本では販売されていない、特殊性のある化粧品を見つけ、これを日本に輸入し販売したいといった貿易相談をよく受けます。


 化粧品は医薬品、医薬部外品、医療機器とともに、その輸入販売に際しては薬事法の適用を受けます。薬事法の規制をクリアーしなければ輸入販売することは許されず、規制に違反した場合は厳しい処罰を受けます。


 化粧品は他の薬事法対象品にくらべ、その使用に際して間違った用法をしなければ、身体への直接的リスクは少ないので、その規制は比較的緩やかです。それでも、安全性の確保の観点から、化粧品の成分規制、品質管理体制の整備といったかなり厳しい条件があり、輸入販売資格を得るための複雑な手順を踏まなければ、実際に化粧品を輸入販売することはできません。


 また、化粧品自体への表示、化粧品の広告表現についても薬事法のほか、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律などによる規制があります。更に化粧品によっては高圧ガス保安法、植物防疫法の適用を受けるものもあります。


 まず、はじめに、化粧品の輸入販売に関する規制・制度をよく理解していただくために、化粧品規制の根幹となる薬事法について、少し退屈かも知れませんがかいつまんでお話させていただきます。


薬事法:「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生上の向上を図ることを目的とする。」そして、この法律で[化粧品]は次のように定義されています。


「化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」


 つまりこの目的、用法(下記の化粧品の種別をご参照ください)を超えて使用されるものは薬事法上は化粧品とは看做されず、医薬品や医薬部外品あるいは薬事法対象外のものと看做され、それぞれに対応した別個の規定、法規等に従うことになります。この薬事法の施行や運用にあたっては、その細則として薬事法施行令及び薬事法施行規則があり、更に関連規定として、化粧品基準、医薬品等適正広告基準があります。


 これら法律・規定の改正や新たな保健衛生上の問題が発生するなどの場合は、その都度必要に応じて、厚生労働省医薬食品局が発する各都道府県への通知をもってその対応が通達されます。


 ところで、化粧品の種別は、厚労省通知によれば次のように分類されます。


(1)頭髪用化粧品、(2)洗髪用化粧品、(3)化粧水類、(4)クリーム類、(5)パック類、(6)ファンデーション類、(7)白粉打粉類、(8)口紅類、(9)眉目頬化粧品類、(10)爪化粧品類、(11)香水類、(12)浴用化粧品類、(13)化粧用油類、(14)洗顔料類、(15)石けん類、(16)歯みがき類


 また、各種別はより具体的な品目に細分されています。そして、種別ごとに効能の範囲が示されています。この効能の範囲は厳格に限定されており、その範囲を超えた効能効果表現は薬事法違反となりますので十分な注意を要します。化粧品の効能効果表現の注意点については別途お話したいと思います。なお、薬用化粧品は化粧品ではなく、医薬部外品となりますのでご留意ください。


 引き続き化粧品の輸入販売に関する諸々の規制の具体的な内容とその対応について、シリーズとして順次お話を進めていきたいと思いますが、次回は、化粧品の成分規制についてお話いたします。


貿易アドバイザー(ジェトロ認定アドバイザー試験合格、認定番号261)、
薬事法有識者会議認定 薬事法管理者 矢野鎮雄


海外移転企業 - 労働集約型と省力型

最近、ある海外進出企業より、製品の市場性が乏しくなって来ている労働集約型事業部門を閉鎖し、省力型事業部門に注力かつ拡大を図りたい、ついては一事業部門の閉鎖に関わる現地の法的手続き、配慮すべき問題等について教授願いたいとの相談を受けました。

                                       

 一般に、海外現地法人の増資や事業内容の変更は定款の改訂と届け出で済むのが通例です。ただし、減資や解散の場合は、やや面倒な手続きが必要になることもあります。


今回の相談の場合、手続き面での問題はないが、労働集約型事業部門の閉鎖にともなう多数の労働者の解雇に問題が発生するおそれがあります。通常、現地政府の外資誘致の大きな目的の一つとして、雇用機会の拡大があげられます。したがって大量解雇は国策に反することになり、社会問題になったとき、政府の庇護が受けにくくなるおそれがあります。今回の相談者も、その点を十分心得ており、退職金に割増しをつけて円満退職させる他、しかるべき筋にも十分な根回しを行うと言っていました。


 ここで注目すべきは、安い労働力が大きな要因であった企業の海外移転に転機が来ているということです。そういえば一頃、あれほど喧伝された「産業の空洞化」問題が鳴りを潜めています。日本企業は、19859月のプラザ合意以降、急速な円高に直面したため、安い労働力や土地を求めて中国やインドネシアなどアジア各国に生産拠点を移して行きました。このため、国内工場の閉鎖や雇用不安の増大など、いわゆる「産業の空洞化」がさかんに議論されたものでした。


もちろん、安い労働力や土地を求めて海外に生産拠点を移転させる流れが止まったわけではありません。しかし、輸送用機械や電気機器の海外生産比率が非常に高くなり、付随して海外に出ようとする部品メーカーの機械類が、どちらかといえば、省力型であるという現実を無視するわけに行きません。さしあたっての問題ではないが、労働集約型移転企業は、撤退を検討する場面もありえると認識すべきでしょう。


 *プラザ合意(Plaza Accord)五ヶ国蔵相(G5)は、1985922日、ニューヨークのプラザ・ホテルで会議を開き、当時問題となっていた過度のドル高を是正するため協調介入に乗り出す旨の声明を出した。


貿易アドバイザー 広沢勉


海外子会社向けリスト規制対象中古機械の輸出

独資もしくは合弁の海外子会社向けに使用中の機械設備を移設する場合、その機械がリスト規制に該当していれば、たとえ子会社であっても、経済産業大臣の許可が必要になります。


子会社向けであれば比較的容易に許可されると言ってよいですが、面倒なのはリスト規制の対象貨物と同種であって数値的には非該当になる機種の場合です。


中古機械の場合、メーカーも非該当証明やパラメーターシートを新品の時のようには出してくれません。状況的には非該当とわかっていてもメーカーの証明がなければ、税関は通関許可を出しません。


一方、キャッチオール規制対象貨物の場合は、海外子会社であれば、需用者要件もしくは用途要件にひっかかることはまずないので、許可を申請する事態には至らないと言えます。


なお、経済産業省は、海外子会社における安全保障輸出管理について、親会社に管理の強化を要望する文書を発表しています。


貿易アドバイザー 広沢 勉

健康食品の輸入(2)

健康食品の輸入は、国内での販売が成功する目算が立っていなければ輸入する意味がありませんから、事前に、販売するに当たっての注意事項を、よく検討しておく必要があります。


先ず、製品表示についてですが、健康食品も一般の食品と同じですので、食品衛生法にしたがって製品に適正な表示を行う義務があります。品質に関する適正表示についてはJAS法が定めています。また、健康増進法や景品表示法の適用も受けますので、必要な表示事項を確認しておかなければなりません。

前回の輸入可否の判断でご説明しましたが、健康食品であるための原材料は専ら医薬品の成分本質とはされていない食品原材料で、医薬品的効能効果を標ぼうしないかぎり医薬品と判断しない原材料、となっています。つまり、原材料として食品と認められていても、製品の効能・効果を謳うことはできないわけです。例えば、快眠効果、あるいは整腸や胃潰瘍の治療効果などが科学的に実証されているハーブで、日本でも食品として使用を認められているものが少なくありませんが、アメリカでは科学的根拠が示されていれば、そういったハーブ健康食品(サプリメント)に、ある程度は効能を表示することが許されています。しかし、日本では一切認められません。効果・機能が一般に広く知られているものでなければ販売が難しい、とされる一つの理由です。


日本でも、特定の保健の目的が期待できることを表示できる場合があります。特定保健用食品と呼ばれている食品ですが、この食品は個別に有効性や安全性の科学的根拠に関する審査を受けて許可されるものであり、許可を受けるためには多大な費用と時間がかかります。指定を受けたビタミンやミネラルの製剤は、含有量が国の定める上・下限値を満たしていれば、栄養機能食品として、その栄養成分の機能を表示できることになっています。


以上とは別に、健康食品を訪問販売や通信販売を行う場合は、トラブル防止のための特定商取引法による規制ルールにご注意ください。




(貿易アドバイザー 白石誠二)

健康食品の輸入(1)

健康ブームにのって、海外の健康食品を輸入したい、という相談が増えています。健康食品を自分自身で使うために輸入するのは自由ですが、国内での販売を目的に輸入する場合でも、安易に考えておられるケースも見受けられますので、①健康食品を販売目的で輸入するに際して、と②それを販売するに際しての二つに分けて要件を書きます。


ともに、食の安全を確保するために当然の規制があります。輸入に際して、第一のチェックポイントは含有成分です。薬事法では「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)と医薬品としての効果効能を謳わないかぎりは医薬品としないものを厳格に区別しています。


専ら医薬品の成分に該当する原材料が少量でも含まれている場合は食品とは認められず医薬品の輸入となりますので、薬事法に基づいた製造販売の許可が必要となります。この許可の取得は容易ではありません。疑わしい成分が含まれている場合には、最寄りの保健所に相談してくいださい。


食品の着色や保存に使われる添加物が食品衛生法で使用可能の指定を受けているか、また、法が定める使用基準に適合しているかも重要なチェックポイントです。食品によっては残留農薬の基準を越えていないか、を確認する必要があります。製品が、原料の入庫から製造、出荷にいたる全ての過程で「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるように管理が行われているか、についても十分な裏づけが求められます。



サプリメントなどでは製品がカプセルや錠剤の形状になっていることが多いのですが(同じような形状でもアンプル剤は医薬品と誤認されるという理由で食品の形状とは認められていません)、そういった製品では原材料成分が凝縮されており、天然発生の毒性物質も凝縮されて混入されている心配がありますので、GMPの実施など製造工程・安全確保に一段と高い製造システムが要求されます。


食品を輸入するにあたっては、事前に「食品等輸入届書」と成分表や製造工程表などの関係書類を輸入地の検疫所に提出して届出済証の発行を受けなければなりませんが、その際の判断では上に述べたような食品としての安全・適格性の基準が満たされているか、が問われることになります。よく、現地の販売店から商品を購入したい(輸入したい)とう話を伺いますが、日本の国内で販売する目的なら、メーカーが詳しい成分表や製造工程表を開示してくれるのか、更に、成分の国内適合性を立証できるのか、がいつも問題になっています。販売店ではなくメーカーと直取引ができる状況が望まれるところです。


以上のように、健康食品を販売の目的で輸入するについては、国としてごく当然な安全・安心の要求があり、それを満たさなければなりませんが、決してネガティブに捉える必要はありません。最近では、朝鮮人参エキスの輸入でご相談を受け、今では順調に商売を続けられているところもあります。紙面の都合で、国内で販売するに際しての注意事項は次回にまわします。

(貿易アドバイザー 白石)