### 介護認定4とは、どのような状態か?
介護認定4(正式には「要介護4」)は、日本の介護保険制度における要介護度の一つで、日常生活において**重度の介護が必要な状態**を指します。要介護4に認定される方は、身体機能や認知機能が著しく低下しており、ほぼ全面的な支援がなければ生活が困難な状況です。具体的には、以下のような特徴があります:
- **身体機能の低下**: 歩行が困難で車椅子や寝たきりに近い状態、または自力での食事や排泄がほぼできない。
- **認知機能の低下**: 認知症などが進行し、時間や場所の認識が難しい、意思疎通が部分的で曖昧になる。
- **日常生活動作(ADL)の依存度が高い**: 入浴、着替え、トイレなどの基本的な動作に全介助が必要。
- **医療的ケアの必要性**: 褥瘡(床ずれ)のリスクが高い、経管栄養や酸素療法が必要な場合もある。
例えば、要介護4の方は、朝起きてから夜寝るまでのほとんどの場面で介護者の支援を必要とし、一人で放置すると安全が保てない状態です。厚生労働省の基準では、要介護3と5の間に位置し、「日常生活全般にわたる支援と一部医療的ケアが必要」とされています。
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### 自宅で介護する場合に気をつけるポイント
自宅で要介護4の方を介護する場合、家族や介護者が負担を感じやすく、また本人の安全や快適さを確保するために細心の注意が必要です。以下に、具体例を交えたポイントを解説します。
#### 1. **安全な生活環境の整備**
- **ポイント**: 転倒やケガを防ぐために、家の中をバリアフリー化する。
- **具体例**: 段差にスロープを設置する、車椅子が通れるように家具を配置し直す、手すりをトイレや廊下に取り付ける。例えば、寝室からトイレへの移動中に転倒しないよう、夜間でも見やすい照明を用意する。
- **注意**: 散らかった物やコード類はつまずく原因になるので片付ける。
#### 2. **身体介護のスキル習得**
- **ポイント**: 移乗(ベッドから車椅子への移動)やおむつ交換など、正しい方法を学ぶ。
- **具体例**: 例えば、寝たきりの方で体重が重い場合、無理に抱え上げると介護者自身の腰を痛めるリスクがある。スライドシートを使って楽に移動させる技術をケアマネージャーや訪問看護師から教わる。
- **注意**: 力任せに行わず、本人の体に負担がかからない姿勢を意識する。
#### 3. **褥瘡(床ずれ)予防**
- **ポイント**: 長時間同じ姿勢でいると皮膚が圧迫され、褥瘡が発生するリスクが高まる。
- **具体例**: 2〜3時間ごとに体位変換を行い、クッションや特殊マットレスを使う。例えば、背中やお尻に赤みが見られたらすぐに看護師に相談し、早めに軟膏を塗る。
- **注意**: 清潔を保つため、汗や尿で湿ったままにしない。
#### 4. **食事と栄養管理**
- **ポイント**: 嚥下(飲み込む力)が弱っている場合、誤嚥性肺炎を防ぐ工夫が必要。
- **具体例**: とろみをつけた飲み物や刻み食を提供する。例えば、スープをそのまま出すとむせやすいので、とろみ剤を使って飲みやすくする。
- **注意**: 食事中は必ず見守り、本人が咳き込んだら背中を軽く叩くなど対応する。
#### 5. **精神的なケア**
- **ポイント**: 認知機能が低下していても、感情は残っているため、優しく接することが重要。
- **具体例**: 「今日は天気が良いね」と声をかけたり、好きな音楽を流してリラックスさせる。例えば、本人が昔好きだった歌を一緒に歌うと笑顔が見られることがある。
- **注意**: イライラした態度を見せないよう、介護者自身のストレス管理も大切。
#### 6. **介護負担の軽減と外部支援の活用**
- **ポイント**: 家族だけで抱え込まず、介護サービスを積極的に利用する。
- **具体例**: デイサービスで日中を過ごしてもらい、家族が休息を取る。訪問介護で入浴介助を頼むことで、体力的な負担を減らす。
- **注意**: ケアマネージャーに相談し、要介護4で使えるサービス(訪問看護やショートステイなど)を確認する。
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### 補足
要介護4の方を自宅で介護する場合、家族の心身の健康も守ることが長期的な介護の鍵です。例えば、夜間に何度も起きる必要がある場合、睡眠不足で疲弊してしまうので、夜間の見守りをヘルパーに依頼するのも一つの手です。また、本人の状態は日々変化する可能性があるため、定期的に医師や看護師と連携し、適切なケアプランを見直すことが大切です。