アヌビス、バステト、ホルスは古代エジプト神話に登場する神々で、それぞれ異なる役割や象徴を持っています。以下、それぞれの神について詳細に解説します。


1. アヌビス (Anubis)


役割:


死者の神、ミイラ作りや死後の世界を守護する役割を担っていました。

特にミイラの保存と埋葬の儀式を司っており、死後の審判を行う際に亡者の心臓を天秤にかける場面で知られています。


象徴:


黒いジャッカルの頭を持つ神として描かれます。黒は死と再生の象徴とされていました。

アヌビスは、死者をオシリスの元に導き、裁きを受ける準備を整える役割もありました。


主な信仰:


死後の安全な旅路を願う人々によって崇拝されました。

埋葬儀式に関連する祈りや儀式が行われ、墓地での保護神としての側面もありました。


2. バステト (Bastet)


役割:


主に愛、家庭、出産、音楽、踊り、そして家の守護神として知られています。

初期は戦いと破壊を司る女神としても描かれ、セクメトと関連付けられることもありましたが、後に優しい側面が強調されました。


象徴:


猫の頭を持つ女性として描かれます。猫は家庭を守り、害獣を追い払う役割があったため、人々から特に大切にされました。

猫そのものがバステトの化身とされ、古代エジプトでは猫が聖なる動物として保護されていました。


主な信仰:


バステトの神殿は、特にペル=バステ(現在のテル=バスタ)にあり、多くの崇拝者が訪れました。

猫を大切にする文化は、エジプトの社会全体に深く根付いていました。


3. ホルス (Horus)


役割:


太陽と空の神で、ファラオの守護神とされました。ファラオは「生けるホルス」としての役割を担い、ホルスと一体視されていました。

また、父オシリスの復讐としてセト(オシリスの弟)と戦い、エジプト全土の支配者となる神話が有名です。この戦いは善と悪の対立を象徴します。


象徴:


鷹または隼の頭を持つ神として描かれ、空を飛ぶ姿が太陽の動きに関連付けられています。

ウジャトの目(ホルスの目)は、保護、力、健康を象徴し、古代エジプトでは護符として広く使われました。


主な信仰:


ホルスはエジプト全土の団結と統一を象徴し、ファラオがその生き写しとされたことで王権の正当性を示す存在でした。

儀式や王権継承の際に、ホルスの名が多用されました。


まとめ


アヌビスは死とミイラ化の神で、死者を保護し導く役割。

バステトは家庭と愛、出産を守る猫の女神で、平和的な側面が強調される。

ホルスは太陽と空を司る神で、ファラオの象徴、国家統一の守護者としての役割を持つ。


このように、アヌビス、バステト、ホルスはそれぞれ異なる役割と象徴を持ちながらも、古代エジプトの文化や信仰の中で重要な役割を果たしていました。