何が「建設的な話し合い」だ。「これからどうすればよくなるかその答えを探したい」だ。

ばーか。
答え?簡単なことじゃないか。

あたしなんかしんでしまえばいい。

それだけ。

しね。

死ね。

死んでしまえ。
あわててはしる

「時間がない、時間がない!」

+ + +

私はいつも、彼のことを、ひどく滑稽だと思う。あと、微かな憐れみに似た気持ちも感じる。

彼は、姿かたちこそ割と正装に近い、チョッキを来た白い兎だけれど、あの物語りでの役回りはつまるところ「道化」なのだと思う。少なくとも私にとって、彼は道化だ。
だって、おかしな格好(白い兎が正装しているなんて『おかしな格好』以外のなんだというの!)であわてふためいてみせ、私に滑稽さと少しの憐憫(まさにピエロの頬に描かれた青い涙はその象徴ではないか)を抱かせるのだから。

彼は何時からあの不思議の国の住人だったんだろう。
あの国を治めるふがいない王と理不尽な女王、更には(彼にとってはこれが一番の不運だったと言えようが)突然の闖入者、彼を追いかけ回し(彼はそれが何故かすらわからない)、彼の周りでいくつもの厄介な騒動を起こし、とにかく全力で彼に面倒をかけ倒す、迷惑極まりない女。

ああ、微かだった憐れみの気持ちが、ちょっとだけ、濃くなったかな。
まあそんなこと、どのみち彼の確固たる「道化」というポジションには何ら影響しないんだけども。

+ + +

「時間がない、時間がない!」

おかしなうさぎ。
かわいそうなうさぎ。

そんな変なところ、早く捨てて逃げてしまえばいいのに。
悪い夢から覚めるのと同じ、一度気付いたら簡単なことよ。

それとも本当は、
それでもなお「不思議の国」で、道化として在り続けたいのか。
若しくは
居たい訳じゃない、だけどほかに逃げるところも知らない、やはり哀れな道化なのか。

まったく
おかしなうさぎ。
かわいそうな、うさぎ!