2010 欧州経営大学院留学 (ヨーロッパMBA)


1980年代前半に、皇太子殿下がオックスフォード大学で学ばれていたのは「テムズ川の交通」です。なぜそれほど変わったテーマを選ばれたのか知りたいと考え、回顧録「テムズと共に」を購入して寝る前に読んでいます。(これがまた、良く出来た睡眠薬で笑)ところが、第7章まで読んでも研究内容についてほとんど触れられておらず、オックスフォードの街と大学、その生活が如何に伝統を重んじているか、また殿下がその伝統に懸命に適応しようとするストーリーが、とてもチャーミングに描かれています。



確かに、この大学にはしきたりが多くあります。例えば、期末試験はExamination Schoolという試験専用の建物で行われました。Teaching(レクチャー)とExamining(評価)を分離するため、教授陣とは別にExaminersと呼ばれる、学生の評価を専門に運用する組織があるのです。Examination Schoolには、黒のガウンとスーツ、白の蝶タイとシャツ、黒いソックスと靴、という決められた服装で無ければ入場できません。この格好で街を歩くと「試験、頑張れよ!」と街の人々が声をかけてくれるといった様子です。



これが古き伝統と格式、というわけなのですが、実は、オックスフォードには別の顔があります。街の周辺には2,000を超えるハイテク・ベンチャーが建ち並び、大学からスピンアウトした上場企業は44を数えます。起業家クラブ、起業&イノベーション研究センター、プライベート・エクイティ・ネットワークといった組織が世界中からイノベーターを集め、人的、知的、金銭的バックアップをしています。



ガウンと蝶ネクタイ、そしてイノベーション。おかしな組み合わせですが、私は2つのヒントを感じます。1つ目は「革新的アイデアは、1人の頭の中で生まれる」という当たり前のことです。蝶ネクタイだろうと、Tシャツにジーンズであろうと(シリコン・バレーに対するある種の偏見ですね)、イノベーティブ・マインドのあるところにアイデアは生まれる、ということ。2つ目は「組織のサポートが革新的アイデアをイノベーションへとふ化させる」ということです。1人の頭の中で生まれたアイデアは、組織のサポートを受けて社会へデリバリーされ、イノベーションとなる。



Googleは、なぜ、革新的であり続けられるのか。

任天堂は、どのようにして、成熟産業で80%のシェアを獲得したのか。

IBMは、どのようにして、長く提供してきたサービスを革新させることが出来るのか。



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