日弁連は、2016年の第59回人権擁護大会で、死刑制度の廃止を目指すべきだという内容の宣言を採択しました。宣言の、死刑に関する部分は次のとおりです。
・日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきである。
・国に対し、刑罰制度全体を、罪を犯した人の真の改善更生と社会復帰を志向するものへと改革するよう求めるとともに、その実現のために全力を尽くすことを宣言する。
 しかし、この宣言は決してシャンシャンと採択されたわけではありませんでした。死刑廃止自体に反対する会員や、日弁連が死刑廃止を宣言することに反対する会員も多くいらして、会場は反対討論と賛成討論が入り乱れていました。
 私は正直言って、日弁連内での死刑廃止議論に疎かったので、少し前までは、弁護士だったら人権意識の高い人が多いだろうし、日弁連はいろんな問題でリベラルな政治的立場をとってきてるので、死刑廃止を推進しているのだろうと、漠然と思っていました。ところが、日弁連内でもいろんな議論があり、2016年までは死刑廃止の立場を明確にできていなかったのですね。
 この人権大会の時の議論は、私にとってある意味とても興味深く、死刑に関する賛否両論のダイジェストのようなものだと感じました。と同時に、まだまだ日本の死刑についての議論は深まってないんだな、存置論者と廃止論者の対話が少ないんだなということにも気づきました。
 私自身は死刑は前時代の遺物のようなもので、早くなくすべきだと考えているので、どうしてなくすべきかについて、わかりやすくお伝えしたいと思っています。そして、死刑の存置を主張する方の疑問にも答えていきたいと思っています。
 ↓福井新聞2016年10月8日一面より