高機能自閉症(自閉症だが、記憶力や計算能力が並はずれている)をもつ少年のストーリー。
ストーリー展開は、さほど複雑ではない。閑静な片田舎で隣家の犬が農耕用のフォークで殺されており、その犯人を探すというもの。むろん、そこに彼と彼の家族との話が絡んでくる。自閉症をもつ親の心理、そして行き着く悲しい展開も、秀逸。
でも、おそらくこの物語が、というか著者のもっとも素晴らしい点は、自閉症の少年の視点になりきっているところだと思う。
なるほど、視点を変える。
小説のほとんどは、彼の目で見る日常茶飯が事細かに描かれることになる。でも、高機能自閉症をもつ彼の描写は、モノの観方一つでも発見にあふれていて、一種アーティスティック。
訳も読みやすいと思うが、原作を必ず読みたい。
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