大学教員になってからホントに土日の出勤が増えた.しかも,無給での出勤.大学教員は裁量労働だから,土日が出勤になった分をどこか平日に休めばよいかもしれないが,教務やら,打ち合わせやら,研究指導やら,その他雑用に振り回されて平日も自由に休めた試しはない.
今月についていえば,先週の土日はセンター入試の従事で出勤だった.入試従事は手当が出るのでその分我慢できるが,今週ついていえば,今日は修士の論文発表会と審査,明日は学科で開講している基本情報技術者試験午前免除講座の修了試験実施のための出勤.ついでに言うと,来週の土曜日も入試の従事で仕事になる可能性があった(こちらはなくなった).
修士の審査はともかく(※),明日の修了試験の実施は完全にボランティアである.学生のためと思えば喜んでやるのが教員の務めなのだろう.学生も頑張ってくれて修了認定者がたくさん出てくれればよいのだが,そもそも明日の修了試験は先月の修了試験で不合格だった者に対する救済としての実施である.この時期,学生は本来の授業の期末試験期間なので,どこまで真剣に修了試験に向き合っているのかは不明である.実際,昨年の同時期の試験もほとんど認定者が出なかった.
午前免除の修了試験についていえば,修了認定を得ても,午前免除の対象となる2回分の本試験を,申し込みを忘れていたからとか,受かる気がしなかったから,などの理由で受験すらしない者もいる.私にはとても理解できない.
残念ながら,私の勤める大学の学生はその程度のモチベーションと能力しかない.それは今に始まったことではなく,私が学生だった時もそうだった.卒業後に,IT技術者としてトップレベルで活躍できる人材になるのはほんの一部分だろう.
そんな実情について悩ましく思う.学生のためとはいえ,プライベートな時間を割いてまでして自分がしていることにどのくらいの生産性があるのだろう.多くの学生が立派に成長し,ITの現場で活躍してくれるとすれば,それは私一人だけで成しえることができる生産量をはるかにしのぐものになる.教員冥利に尽きるといえるだろう.しかし,モチベーションが低く,わずか数名の修了認定者しかおらず,認定を得ても本試験を受けることすらしない者もいる状況である.私がボランディアでやっていることに何の価値を見出せるだろうか.私は,彼ら,彼女らの天邪鬼に付き合う気など毛頭ないのだ(もちろん,少しは動機付けになったり,多少の学習効果があるだろうということは否定しないが).
もちろん,そのような実態を改善して優れた学生をより多くの育て上げるために,様々な方策や工夫を講じる努力を怠るつもりはない.しかしその努力の成果の現れ方は,本学のような学生と成績上位クラスの大学では違うとみるのが自然であろう.我々には一層の努力と時間が必要なのである.そのしわ寄せは,結局のところ研究成果の質の低下や,自身プライベートを脅かすのである.
悪循環としか言いようがない.
※修士の審査自体も手当てなどがつくわけではないのでボランディアと言えなくもない.審査のために,修論に目を通したり,コメントをまとめたりするなどの時間は相応にかかる.