【キャスト】
スペンサー・ストーン
アレク・スカラトス
アンソニー・サドラー
マーク・ムーガリアン
イザベル・リサカー・ムーガリアン
クリストファー・ノーマン
(↑すべて本人が演技)
イーストウッド監督が電車でのテロに立ち向かった青年たちの実話を映画にした事は知っていたけど。
そのヒーロー達や、被害者までも本人を演じていたのは最近知った。
イーストウッドさまは、ミスティックリバーや、グラントリノとか、バイオレンスで、救いがないけど余韻と社会への警告的なものを書いて創っていたけど。最近は実話が多い。
実話って結果が分かっているから難しい分野。
ドキュメンタリーの偽物になってしまいがち。
アメリカテレビイベントで顔を合わせたイーストウッド監督に、ヒーロー三人がジョークで映画化して下さいと話しかけて、実現したらしい。
ネタばれます

英語の発音には詳しくないから、(子供時代はもちろん子役俳優たち)本人たちの演技が棒読みなのか、自然なのか、サッチーにはわからないけど。
クライマックスのテロリストに立ち向かうシーンまでは、延々と3人の子供時代の出逢いから、現在までの過程を描く構成。
窓際のトットちゃんみたいに、子供時代の三人は、個性が強くまわりとは浮いていて。
転校しても、なかなか馴染めない。
シングルマザーの子供が、教師から差別的な物差しで見られるシーンは、観ていて胸が苦しい。
気の合う三人は、森で大好きな戦闘ごっこ。
スペンサーが将来、空軍を目指すのは。
人と戦ったり殺したいからではない。
人を助けたい。
その一心で、体を鍛えて、試験を受けるが、視力の奥行き能力が足りずにパラシュート部隊には入れずに落ち込む。
救急救命士となって空軍で働き、アレクも、州兵となってアフガニスタンに赴任。
束の間の休息で、仲良しのアンソニーと合流し、イタリア、オランダの観光や、クラブナイトを楽しんだあと、パリへ向かう列車でテロに遭遇。
日頃から「人の命を助けたい」と願い続けるスペンサーは、少しも戸惑うことなく、何百もの銃弾を持ったテロリストに飛びついて、他の客たちを守る。続く、アレクとアンソニー。
実際に首を撃たれて生死をさ迷った被害者のマークと妻のイザベルも、本人役で熱演。
イーストウッド監督は、普段からワンテイクしか撮らないらしいが、今回、本人たちの復元のリアルを大事にした。
観る前から、テロリストに立ち向かうヒーローという前提で、意外性はないのはわかっているが、
登場人物の環境が一変する様をこれほど見事に描いた作品を観たことがない。
イーストウッド監督の構成力のうまさ。
子供時代は、母子で世間から蔑まされ。
注意欠陥障害だから薬を飲めと言われ。
片親だから問題児と決めつけられ。
そんな三人は、目標を持って成長し。
必然的に事件に遭遇し、人命を助け、フランス、アメリカからも勲章を受け、ヒーローになる。
その対比のうまさに観客も希望、感動に浸れる。
実録の表彰シーンがまた、素敵。
誰が観ても感動できる映画なので、元気がないひと、落ち込んでいるひと、みんな満てほしい。