前回の内容は↓

 

Dさんがアダルトビデオに出ていることを知り、そのきっかけを作ってしまったのではないかと考えていた。

 

そろそろ正月だったので、実家に帰るのかDさんに連絡をしてみようと思った。

 

以前、私のポケベルにDさんから携帯電話の番号が送られてきていた。

 

その番号に電話すると、初めは誰だか分からなかったみたいだが私だと分かり喜んでくれた。

 

正月は実家には帰らないが、近いうちに帰るのでその時に私のポケベルに連絡すると約束し電話を切った。

 

色々聞きたかったが、会って聞くまで我慢することにした。

(当時は携帯への通話料金が高く長時間は話せなかった。)

 

 

 

それから年が明けてDさんから連絡が入り、会う日程を約束した。

 

少し寒さが残る3月頃だったと思う、近所のコンビニで待ち合せた。

 

私は車で待っているとDさんが歩いて来た、近づくにつれ私はその格好に驚いた。

 

ミニスカートのセットアップスーツにファーのコートを羽織り、ロングブーツ、サングラス姿で現れた。

 

時刻は夕方だったが、Dさんの周りだけ夜の雰囲気が漂っていた。

 

私に気付くと、コート脱ぎ車に乗り込んできた。

 

近くで見ると更に夜の雰囲気と香りが増した。

 

髪は縦巻きで化粧ばっちり、バック・腕時計ともにシャネルだった。

 

サングラスを取り、大きな二重の目が細くなるほどの笑顔で

 

「久しぶり、2年ぶりじゃない?」

 

「そうだね。久しぶりで、更に変わったな。」

 

「ギャル通り越してキャバ嬢じゃん(笑)」

 

「そうだよキャバで働いているし。言ってなかったっけ?」

 

「えっ?そうなの知らなかったよ」

 

そんな挨拶から始まり、ドライブがてら食事に向かう事にした。

 

車の中でもお互いの近況について報告しあった。

 

Dさんは、高校卒業後に同棲を始めた彼氏とは別れ、現在は某繁華街でキャバ嬢をスカウトするキャッチの男性と付き合って同棲中らしい。

 

その男性のつてもありキャバクラで働いているとの事だった。

 

私の方は、学校とバイトで忙しいと近況を伝えた。

 

「高校時代の彼女とは続いているの?」

 

と聞かれた。彼女とは別れたことを伝えると。

 

「キレイな彼女で、お似合いだったのに…。もったいない」

 

どうして別れた?理由は?と色々質問されたが、「色々あって…」と誤魔化した。

 

 

そんな会話をしているうちに、お店に着いた。

 

店内に入りオーダーを済ませたのを皮切りに改めて近況を話し始め、食事し始めても会話が途切れることは無かった。

 

そんな中、言うか言うまいか迷ったが思い切って聞いてみた、

 

「そういえばDってさ、AV出ている?」

 

と聞くと、

 

「バレてた?出ているよ。この間、高校の同級生にも言われた(笑)」

 

「うん。オレも〇〇(地元の友達)から言われて知った。地元でも知っている人多いよ。」

 

「別に隠している訳じゃないから大丈夫だよ。」

 

「普通に仕事としてやっているから、周りにどう思われようが平気なの」

 

意外にも明るく話し出した。

 

キャバクラが本業で、AVは副業との事だった。

 

「adamも観たの?」

 

「うん。何人もの制服きた女の子と一緒に出ているヤツ観たよ。」

 

「初めの方のやつだ。でもadamに観られたと思うと恥ずかしいね。」

 

「他の作品も教えてもらったけど、観る気になれなくて観てないよ」

 

「絶対に観ないでよ!」

 

「実物を見てたいから必要ないでしょ(笑)」

 

その様なやり取りで、その仕事を嫌々やっているわけでなく、本人もやりがいを感じていると知って安心した。

 

それから、AVに出演するきっかけも彼氏の紹介で出ることになったという経緯を聞いた。

 

初めは何人もの女の子の一人としての仕事で軽い小遣い稼ぎで参加していたが、その内、一人で出演するようになってからお金も待遇も非常に良いとの事だった。

 

 

更に詳しい話を聞きたかったが、人の目もあるので外に出てから聞くことにした。

 

その後、車に戻ってから具体的な撮影の話などを質問すると、私も知っている有名男優との絡みで潮を吹かされ体験や相変わらず口が小さくフェ〇が出来ないため、フェ〇しているように見せる方法など楽しく話をしてくれた。

 

そんな話を聞いていると私も楽しくなり、更に話を聞くために公園の駐車場に車で向かった。

 

サイドブレーキを引きDさんの方を向うとした時、先程まで笑いながら話していたDさんが急に

 

「もうこれ以上、Adamにはこんな話はしたくない」

 

と私の左腕に抱きつき泣き出した。

 

先程まで、楽しそうに話していたのに驚き、「どうしたの?」と尋ねると

 

別に仕事が嫌なわけではなく、私に話をしていたらふと恥ずかしくて悲しくなってしまったとの事だった。

 

私も調子に乗って質問し過ぎたことに反省し「ごめんね」と謝った。

 

そのままDさんを抱き寄せ泣いているDさんの目を見つめキスをした。

 

そして、そのまま車の中で交わった。

 

その交わりは、以前のDさんとは違い積極的で感じ方や表情・仕草も大人になっていた。

 

見上げたDさんの姿は美しかった 。

 

車の中での交わりが終わると、急に距離が近くなったように感じた。

 

先程まで大人っぽく強く見えたDさんが急に同級生に戻った感覚になった。

 

 

そして、私はDさんに

 

『私が遊びに誘ってしまったせいで、優等生ルートから逸らしてしまったのでは?』

 

と感じていて、多少なりとも悩んでいた事を伝えた。

 

Dさんは笑って、

 

「あの日adamと遊ばなくても、私はこうなっていたと思う。」

 

「逆にあの日誘ってくれて感謝しているよ」

 

と言ってくれ、多少だが気持ちが楽になった。

 

Dさんからも

 

2年ぶりだったから私と会うのを緊張していた事。

 

AVに出ていることを知られていて驚いた事。

 

AVの仕事は、お金を貯めたら辞めたいと思っている事。

 

お金を貯めたら鼻を整形したい事。

(目はアイプチでなく整形したとの事。)

 

両親にはこの仕事を話したが、納得してくれず悩んでいる事。

 

など、飾らない色々な事を話してくれた。

 

 

その後、Dさんを彼女の実家まで送った。

 

実家近くに着くと、カバンから箱を取り出し私に渡した

 

「この香水嗅いだ時にadamのイメージにぴったりで、adamにつけて欲しいと思ったの。」

 

「もし良かったら使ってね」

 

箱を開けるとDiorの「ファーレンハイト」という香水だった。

 

始めて見る香水で手首に吹きかけると、独特の匂いがする香水だった。

 

「ありがとう。つけるね。」

 

と伝え有難く頂いた。

(この時から、この香水を長年愛用した。)

 

そして降り際に、Dさんから

 

「実家に帰る時は、必ず会って欲しい」

 

とお願いされた。

 

 

 

その後、Dさんとは、彼女が実家に帰る時に会うという事が約3年間続いた。

 

毎年会うたびにDさんは変化し続けた。

 

2年目には、AVの仕事は辞めていて、鼻の整形により更にキレイになっていた。

 

3年目の最後に会った際は、腰に蝶のtattooを入れ、ラビアにピアッシングしていいた。

 

仕事は風俗関係との事で詳しくは話してくれてなかった。

 

人間関係や生活の話を聞くと、心配になるような環境であった。

 

別れ際に「もう少し、自分を大切にした方がいいよ」と伝えた。

 

 

 

その日以来、私は、Dさんが私とは住む世界が違うと感じてしまい、実家に帰ると連絡があっても会う事は無くなり、次第に連絡も来なくなった。

 

それから更に数年後、私が結婚した事を親づてに聞いたらしく、「おめでとう」と連絡があったのが最後だった。

 

 

 

最後の連絡から約6~7年後、私は家族と某ショッピングモールに行った時に、エレベーターの中でDさんと偶然会った。

 

Dさんはベビーカーを押して、旦那さんと買い物に来ている様子だった。

 

私がエレベーターに乗り込むと直ぐに分かったらしく、

 

「adam君だよね?」

 

と声を掛けられた。

 

そこで私もDさんと気付いた。

 

相変わらず派手な印象であったが、立派な母親だった。

 

旦那さんも優しそうで普通の人だった。

 

エレベーターを降り、Dさんは旦那さんに

 

「幼馴染のadam君」

 

と紹介してくれた。

 

私も妻に

 

「幼馴染のDさん」

 

と紹介した。

 

 

何故か幼馴染という言葉が嬉しかったのと、幸せそうなDさんを観たのが嬉しかった。

 

そこで少し立ち話をして別れた。

 

去り際に、旦那さんから「ファーレンハイト」の残り香が漂った。

 

旦那さんと話すDさんの横顔は、美しい笑顔の女神だった。

 

それ以来、会っていないが今も幸せでいて欲しいと願う、初恋の幼馴染として…。

 

 

終わり