ペーシングとは?

ペーシングとは、言語・非言語を用いて信頼関係を構築するコミュニケーションスキルの1つです。

 

もともとはカウンセリング手法のなかで用いられてきたものですが、コーチングやビジネスでのコミュニケーションでも活用できると分かり、利用範囲が広がっています。

 

ペーシングを用いることで相手の警戒心をほぐし、安心感を与えられます。そして、結果として相手との信頼関係(ラポール)を素早く構築することができます。




ペーシングを構成する3つのスキル

ペーシングは大きく3つのスキルによって構成されています。

  • 1.バックトラッキング
  • 2.ミラーリング
  • 3.マッチング

ひとつずつ見ていきましょう。

1.バックトラッキング

バックトラッキングとは、相手が話した言葉を「オウム返し」のように繰り返すことです。バックトラッキングすることで、相手に「話を聞いている」ことを伝えられます。

 

バックトラッキングされた相手は「自分の話をしっかり理解してもらえている」「受け入れられている」と感じられ、安心感や納得感を持ちやすくなります。

 

なお、すべての言葉をオウム返ししていては話が進まず、相手にも不信に思われるでしょう。そのため、話の要点部分だけをバックトラッキングするなど、程よい頻度で使うことが大切です。

 

バックトラッキングには大まかに、以下3つのレベルに分けられます


2.ミラーリング

相手の身振りや動作を「鏡」のように合わせていく手法が「ミラーリング」です。ミラーリングで合わせる身振りや動作には、以下のようなものが挙げられます。

  • 姿勢
  • 座り方
  • 身振り
  • 手ぶり
  • 態度や表情 など

ミラーリングは相手と自分の間に共通点を作ることで、親近感や安心感を持ってもらえるようになります。

 

ただし、「意図的にやっている」と相手に思われてしまうと、逆に不信感につながりかねません。すべてをコピーするようなイメージは捨てて、要所でさりげなく行うことがポイントです。

3.マッチング

相手の声のトーンや店舗、ボリュームを合わせて話す手法が「マッチング」です。いわば「声に関するミラーリング」ともいえます。

 

話のペースや口調を合わせることで「自分のペースに寄り添ってくれる」「自分と相性がいい」と相手は認識して、信用してもらえます。

 

逆に、自分と話のテンポがズレている、例えば、ゆっくり気味に話す人が早口の人の話を聞くと、相手は無意識に違和感や嫌悪感を持ってしまいがちです。

 

マッチングはまず、言葉のペースや間の取り方を合わせるところから始めることが一番有効です。

 

なお、本来のマッチングとは少しズレますが、言葉のペースに合わせて単語や表現なども相手に合わせるとよいでしょう。

 

なおマッチングの上級編として、はじめは相手に合わせながら徐々に自分のペースを変えることで、相手を自分のテンポに巻き込むといったやり方もあります。

 

例えばクレーム対応などで、はじめは興奮した相手の早口なペースに合わせながら、少しずつペースを緩めます。すると相手のペースも緩くなり、次第に感情を落ち着かせられるようになるでしょう。

ペーシングを実践するポイント

ペーシングを実践する際は、以下のようなポイントに着目してみると、実践しやすくなるでしょう。

  • 1.話し方・トーン
  • 2.言葉遣い
  • 3.オウム返し
  • 4.表情・しぐさ
  • 5.感情・価値観