もこもこフラフィーの続きを書きだしているのですが、同時に別の話も書いています。本にするまでは時間もかかるのに、どんどん話が湧いてくるので、そこをちょっと解消したいな…と、

その一つをこのblogで連載することにしました。

blogテーマの「じかんざぶとん」

にまとめていきます。

あだちまり日和(一覧のページ)→テーマ別(下にスクロール)→じかんざぶとん

完成するまで何度も書き直したりするかもなので、それも含めて楽しんでみてくださいね。

「じかんざぶとん①」

ときちゃんには、とってもなかよしのお友達がいます。どういうわけか、そのうえに座っていると、次から次へといろんなことに興味をもち、時には3日坊主にもなってしまうというとても不思議なぎぶとんです。

「えっ？友達がざぶとんですって？。3日坊主になる？　へんなの～。」と、みんなは口を揃えて言いますが、ときちゃんはそんなのおかまいなし、彼女にとって、わくわくする気持ちをおこさせてくれるざぶとんは、誰がなんと言おうと大切なお友達なのです。

だってこのざぶとんのうえに座った時や、寝ている時のふかふかの感触や、その気持ちのよさといったら…。みんなも一度座ってみるとわかるんじゃないかしら？ときちゃんはいつもそう考えています。それにどこに行っても売っているものではないんです。

雨が続いたあとのよく晴れた日の朝に、お気に入りの長靴を履いたときちゃんが、水たまりに映った雲の上を、ポンポンと軽快に飛び跳ねてお散歩していた時だったでしょうか、突然、足もとの雲からぷくぷくと泡のように膨れ上がり、目の前にポコンッ！！

と、ふかふかした大きなざぶとんが目の前にひょっこり姿をあらわしました。

そしてオーロラのベールがかかったようにヒラヒラと色が変化し、次の瞬間ときちゃんをひょいっと乗せて、ブランコのようにゆらゆらと宙を浮いてみせたのです。

「まぁ、わたし、空を飛んでるわ！」

ときちゃんはざぶとんの上からすこし顔をのぞかせ、水たまりに映っている雲や、浮いた空から見るはじめての景色に心が踊り、自分が歩いてきた長靴の足跡を一つ二つと数えだしました。

はじめて出会った時からときちゃんは、このざぶとんに、なんともいえない居心地のよさと、なぜだかわからないけれど、どこか不思議で特別なものを感じていて、

それからというもの、ご飯を食べる時も寝る時もいつでも一緒。

そして何かわくわくすることに出会った時や思いついた時には、そのままざぶとんに乗って飛んで行き、熱心に研究したり遊んだり、自然の神様や動物たちに、いろんなことを教えてもらったりするのです。

お隣に住んでいるタイちゃんとクツくんは、そんなときちゃんの様子をみて、「今日はどこに行くの？

どうせまた3日坊主なんだろうねぇ。」などとからかうばかり。

この二人。ときちゃんとはまったく正反対で、彼らの日常といったら、みんながもっている

そうそうあれですよ、手の中でなんでも調べたり見たり答えてくれる小さなテレビのようなもの。時にはそれを四方の壁に投影して、世界旅行やゲームなどをして、家の中から動こうとしません。彼らはいつものようにお気に入りの甘いジュースを飲みながら「だってこっちのほうがラクちんで、何でも知ることができて、どんなものでも見ることができて、どこへでも行ったような気分になるんだ。」

「こんなに便利なのに、なんだって外へ出なくちゃいけないんだよ。ときちゃんは、へんなざぶとんのせいで、毎日外へ出ては、三日でなんでもやめちゃうんだもん、そんなのおかしいよ。」

などと話しています。

(つづく)

もこもこフラフィー　童話本購入はこちらです。

https://marimok.base.shop

marimoko book powered by BASEmarimoko bookマリモコブック和紙灯りで表現活動をしている、あだちまりが、さまざまな思いをこめて書き下ろした創作童話のちいさな書店です。1作目は、フラフィーとなかまたちの出会いや旅のモノガタリ。文章多めの童話。自由に読んでもらえたら嬉しいです。(大きめ字　文章メイン)

marimok.base.shop