今日は動物病院へ来ている。
対象がペットではなく自分なものだから、わざわざ貴重な休日に出向いている。
と言ってもノミ予防の薬を貰うだけだ。
「洋右さん!沢木洋右さーん!」
呼ばれ受付まで歩いていく。
患者と呼ぶべきか、お客さんと呼ぶべきか。
数多の人とペットが居る中、誰も僕の容姿を気にしている様子はない。
ペットは他のペットと。
飼い主は他の飼い主と。
楽しくかは知らないが盛り上がっている。
「洋右くん、いつもの薬2週間分出しとくね」
「ありがとうございます」
「この薬、今キャンペーン中でオマケ付いてるの」
そう言って渡されたのは、犬の写真が表紙のノートだった
「これ最後の1冊だったのよ?洋右くん幸せ者ね」
ノミ予防の薬にノートを付けられてもオトク感は感じにくい。
酢豚に入ってるパイナップルと同じだ。
まぁうん、そんな感じ。
僕は支払いを済ませ病院をあとにした。
そろそろ秋。
衣替えだ。
新しい服、手袋、靴。
今月のバイト代で買って帰るかな。
第三話終