七月三十一日。今日は僕の地元で花火大会が行われる。一時間で四千八百発を打ち上げるそうだ。県の中心部と離れ、小さな市だけど、中心部に負けず劣らず、このような催し物がある。僕の地元の花火大会はここでしかやっていないから、毎年何万という人が花火を見に来ている。花火を打ち上げ始める時間は午後八時。携帯のディスプレイにもちょうど八時を表示していた。そろそろ花火が打ち上がるころだ。そう思った瞬間、夜空に大きな花が咲いたように花火が打ち上がった。見に来た人達が拍手と共に歓声をあげる。

「大きいね、毎年のように」

「うん」

僕の隣には付き合ってもう三年が経つ彼女がいる。しっかりと繋いだ手から伝わる彼女の小さな温もりがとても愛おしくて、ぎゅっと握る力を少し強くすると、彼女もまたぎゅっと握り返してくれた。

 花火が闇に打ち上がり、色とりどりに空を光らし、そして散っていく。散ってしまうからこそ花火は美しいのだと思う。儚くとも美しい――。それが花火の良さだと僕は思う。

 僕はちらっと彼女の横顔を盗み見た。大きな瞳で空を見つめる目は花火に感動しているのと同時に、どこか寂しげだった。何かあるのだろうか? あれやこれやと考えてみるが分からない。それでいて、彼女に聞くのも気が引けたので、僕は考えないことにしてそのままその目を空に移した。大きな花火が上がるごとにたくさんの人達が拍手と歓声を上げる。

「キレイだね、花火」

僕の体に自身の体を預けながら彼女が言う。

「うん。毎年のことだけど」

僕はそんな彼女の肩を抱いた。

「来年もまた……一緒に見れるかな?」

そう言う彼女は何故か小さく見えて、ものすごく寂しそうな声音をしていた。

「見れるよ、絶対に。約束しよう」

「うん……約束」

今までより一段と大きい花火が連続して上がる。そろそろフィナーレを向かえるようだ。たくさんの花火が頭上に上がり、そして消えていく。胸がキュンとするような切なさが体を駆け巡った。もうそろそろで終わってしまう。終わらないでくれ……。花火が上がるたび、その思いは大きくなっていく。後少しだけ……少しだけでいいから。

――があるからこそ、――がこんなにも――……

「何?」

彼女が小さく、本当に小さく呟いた。僕はそれを花火の音にかき消され、聞き取れなかった。――今思えばこの時から彼女は決心していたんじゃないかな、と思う。僕は花火に見とれてしまって、このとき彼女が流していた涙に気づいてあげることは出来なかった……




一年後、八月一日。今年も去年を同じ時期に花火大会が行われた。去年と何も変わらない。四千八百発の色とりどりの花火。たくさんの人。湧き上がる歓声と拍手。全てが去年と同じようだ。だけど違うところを一つ上げるとしたら、僕は今独りだということだ。去年、僕らは大学受験を控え、花火大会の時以来、学校以外では会わないことを約束した。お互い、学校名は出さなかったが難関大学を目指しているのは同じで、僕らの関係より勉強を優先した。結果は見事二人とも合格だった。お互いに合格したことを報告しあい、学校名を伝え合った。僕は県内の大学だったが、彼女の口から出てきた大学は、

『私、東京の大学に行く』

『嘘だろう?』

想像外の名前だった。

『本当だよ。東京の大学に合格したの』

…………そっか。もう決まったことはしょうがないし、僕がどうこう言うことじゃないしね。僕はずっとここで待ってるからさ、絶対に帰ってきてね』

『うん……待っててね。絶対に帰ってくるから』

その会話は今でも鮮明に思い出せる。僕は彼女と約束した。「ずっとここで待ってる」と。僕は彼女の帰りがいつになろうとも、ずっとここで待っていよう。そう彼女と、自分の心に誓ったのに……。彼女は帰ってくるどころか、連絡すらも取り合っていない。最初のころは頻繁に取り合っていたのに、ここ一ヶ月はメールも電話もしていない。もしかして……。いや、そんなことはない。

 花火が打ちあがり、散っていく。僕らの関係も花火のように一瞬で散ってしまうのではないか? あるいはもう、散ってしまっているのではないか? 嫌でもそんなこと思ってしまう。不意に涙が伝う。嗚呼……、あの時終わらないでくれと願ったのは、僕らの関係がこうなることを無意識に感じ取っていたからそう思ったのか。一筋、また一筋涙が頬を伝い、服に染みていく。僕はこれ以上、花火を見るのが辛かったから人の群れを抜け、花火大会の会場を跡にした――

 暗い一人の帰り道。足早に家へと帰ると「ただいま」も言わずに自分の部屋に篭る。窓も開けず電気もつけず、蒸し暑い中、閉めたドアに背中を預け携帯を取り出した。彼女の番号を呼び出し、耳にあてる。速まる鼓動を無理矢理押さえながら出てくるのを待ったが、携帯からは『おかけになった電話番号は現在使われていません』を何度も繰り返す女性の無機質な声だけが聞こえただけだった。何度かけても結果は同じ。メールもしてみたがエラーメールが返ってくるだけだった。



『離れ離れになっても私達の心は繋がっているから』



そう言ったのは彼女の方じゃないか……! 枯れたはずの涙は再び溢れ出し、止まることを知らないようにただ流れ落ちていく。ベッドに身を投げ、枕に顔を埋めて自身から漏れる嗚咽を聞かれないように、自分でも聞こえないようにした。彼女と交わした約束は彼女に破った。彼女と僕を繋いでいた鎖はもう繋がっていないのか? 直接聞きたくても連絡する術はないし、東京まで行くにしても、彼女の住所を知らない。大学に行けば会えるかもと思ったが、めぐり合える可能性は低いだろう。彼女が僕との鎖を絶ち切った理由は分からないが、こんなにもあっさりと綻び、消えてしまうのか……。僕は繋がっていた鎖を手繰り寄せ、彼女に繋げるが、彼女の姿はどこにも見えない。鎖の片方は僕に絡み、もう片方は彼女に絡むことはないだろう……。悲しいけど、僕と彼女を繋ぐものは何一つとしてないのだから。枕の中で何度も何度も彼女の名前を呼んだ。

「愛してる。僕はいつもまでも……。たとえ君が僕のことをもう愛していないとしても……

真っ暗な部屋の中、僕だけの声と嗚咽がくぐもった音となって小さく響く。あのとき交わした(やくそく)の行方は誰も知らない。

「さよなら、愛した人。ここまでだ……。これでおしまい」

誰かが僕に言った。

暑い!!!!!!!!
暑い(;´д`)
暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い


溶けたアイスになる。
暑いよ、毎日。
汗がやばす。まじでどうにかしてほしい。
北海道行きたいよー白恋中行きたいよー←


んーシドのサーカスを聞くと宮坂が自然と浮かんでくる






とにかく暑い!!!!!!!!!!!!!!!