我々、というか、僕の54歳というもう直ぐ定年という

年齢まで何とか生きて来れた人生について、感謝せざる

を得ませんが、


 僕も若かりし頃、死ぬかと思った思い出があります。


 ワンボックスの、あの時なんだったかな車種は…確か

ボンゴか何かだったと思うそのワンボックス車に五人く

らい、その時僕は確か19歳だったと思います、


 先輩が運転してたんですが、さらに僕はシートに座ら

ずにリアの一角に、ホイルハウスのでっぱりの上に腰を

据えて寄り掛かっていた体制で乗っていました。


「箱(ワンボックス)乗らせたら、俺の右に出る者は

 いない」


 と下り坂右カーブに差し掛かった途端、右車輪が浮い

てスピン寸前…


 車体はたぶん10°は傾いたと思います(ワンボックスで

13、4°傾くと転覆します、速度に寄りますが)もう顔は真

っ青、


 ああもう絶対死んだな、とシートにしがみついて、し

かも深夜、飲酒はしていません、それは確実で、かなり

持ち直した後、その先輩を皆んなが叱責、後輩も関係な

く罵りました。


 別にその先輩とは仲も良い方でもなければ悪くもなか

ったので、そもそも知り合い程度、でしたが、


 乗って事前に注意出来なかった、暴走運転を止められ

なかった、注意出来なかった自分も悪かったし、


「気を付けましょう」


 とだけ言って、実家に帰ったのが4時前。


 全然眠れず、生きてて、ただただ良かった。本当に胸

を撫で下ろしました。


 これ以降、自分は車で無茶に飛ばしたりイキッた運転

はしなくなりました。


 あの時、ひょっとしたら、僕を含めて正しくは六人の

19歳から22歳までの若者が死んでいたかも知れない。


 今でも思い出すと、本当に辛いんです。良かったとは

思いますが、そうじゃなくて大きな暗い後悔がずっしり

心に暗雲を張り巡らされた様に自分の視界を遮ります。


 だから、今回の事故で死んでしまった若い人達を、


 軽自動車に6人も乗っていた人達を、僕は責める事な

んて出来ないのです。


 ダメですよ、定員オーバーは。だけど、この年頃での

若者は、容易く過ちを冒してしまうんです。良い大人が

峠で朝練と称して暴走するのと一緒です。早朝だから対

向車もいないから無茶できる…とか、滅茶苦茶な理屈に

もならない全く自己中心的な我儘で膝擦って楽しむとい

う暴挙に出るのと、


 一緒です。僕も、31から33歳までバカな朝練に真冬

で凍結路で転倒するまで行ってましたから、気持ちは


 今回死んでしまった5人と生きている1人と考えは同じ

なのです。


 ただ僕は、何か知らないで54歳まで生きながらえたに

過ぎません。


 運とか天命とか言いますが、命って本当に残酷で容赦

なんて全くありません。


「死ぬ時は死ぬ」


 僕が馬鹿でなかったのは、単に死ななくて生きる事が

本当に偶然で生きていたからに過ぎず、だからこそ、


「俺の行動は間違っているぞ」


 と修正が効く時間が許されただけに過ぎません。そこ

で踏み止まり、道を変えて選んだに過ぎず、文字通り愚

かであれば、


 生きてはいなかった、紙一重とはこの事です。


 前にも書きましたが、朝3時に起きてツナギ着て、

フル装備で颯爽と出掛けて膝を擦りに行ったり、

 ツーリングで出掛けて来るよ、と送り出した旦那さん

や息子や娘、兄弟姉妹がまさか、


 死体で帰って来る、なんて誰が想像出来るでしょう?


 若い、それだけが無謀とは断言出来ません。僕だって

良い中年だった頃でも峠で膝擦りに朝練をしていたクソ

野郎です。


 ただ、今はもう亡き母が、いつも出掛けに、


「危ない事、事故には気を付けんにゃいかんよ、

 早く帰って来い」


 それだけが、今思うと魔法の呪文だったと言っても

運命を導いた奇跡だったのかも知れません。


 あなたが亡くなれば、とても悲しむ人が沢山います。


 あなたが仮に、15歳で死んでしまっても、貴方を慕う

友人は、これから50年60年それ以上、


 貴方を失った悲しみと苦しみを胸に葛藤しながら、


「あん時、お前を止めたなら、せめて声を掛けてれば」


 どれだけ長く長く、失った悲しみを背負いながら生き

て行かなければならないのです。


 家族愛、友情、守れる方法はひょっとしたら、あった

かも知れません。無かったかも叶わなかったかも知れま

せん。


 今回は止められませんでした。でも今回の悲しみと過

ちから救える命は数多くあると、死んでいった方々の為

にも尽くして行きたいと、


 僕は心から実行していく事に、今回の事故をそう捉え

て生きていく事にします。


 痛ましい事故が無くなる事を願っています。