バッテリー問題が“再燃”したB787 社運かけた安全対策は機 | atlanticaのブログ

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バッテリー問題が“再燃”したB787 社運かけた安全対策は機能したのか?

(1/4ページ)[航空事故・トラブル] バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

 昨年1月に日米で相次いだバッテリートラブルで一時運航停止となった最新鋭旅客機ボーイング787型機が、再び“難問”に直面している。運航再開に向けメーカー側が徹底的に改良したはずのバッテリーが今年1月、何らかの原因でまたも過熱、損傷したからだ。航空会社は安全運航に支障はないと判断したが、いまだに原因は解明されていない。専門家からは再発防止策に不備があった可能性が指摘されており、航空業界の“花形機種”に注がれる視線は依然として厳しい。

まさかの事態

 「あれだけ対策を施したはずなのに、なぜ再び過熱したのか…」。1月14日夜、千葉県成田市の成田空港。日本航空のB787型機のバッテリーにトラブルが発生し、日航関係者は言葉を失った。

 日航によると、同日午後4時15分ごろ、整備士がバンコク行きに使う予定の機体を点検中、機体下部から白煙が立ち上がっているのを確認した。操縦席の計器には、バッテリーと充電器の不具合の可能性を示す表示も出ていた。

 機体前方にある地上での起動電源用バッテリーを調べたところ、金属製容器に収納された8つある電池(セル)の1つに加熱した痕跡があり、電解液が飛散していた。

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(2/4ページ)[航空事故・トラブル] バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

 「何らかの原因で電池が発熱し、沸騰した電解液が気化して煙になったのではないか。それ以上のことはわからない」。バッテリートラブルについて、日航の広報担当者は慌てた様子でこう説明した。

洗い出された“原因”

 B787のバッテリーをめぐっては、昨年1月に米ボストンの国際空港と高松空港で発火や発煙騒動があり、米連邦航空局(FAA)が異例の運航停止命令を出す事態に発展した。対象が米ボーイング社の最新鋭機だっただけに、“787ショック”として航空業界に衝撃が走った。

 ボーイング社は運航再開に向けた改善策を打ち出すため、原因を徹底的に洗い出す作業に着手。各種研究機関や防衛産業など関連分野の外部有識者らと連携し、トラブルにつながった可能性がある推定原因を約80項目に絞り込んだ。

 そして、その80項目全てについて(1)電池自体の過熱を防ぐ(2)1つの電池が過熱しても周囲に伝(でん)播(ぱ)させない(3)発生した煙を機外に排出して火災を防ぐ-といった対策を講じたのだ。

 しかし、今回のケースでは3つの対策のうち(1)が機能しなかった可能性が浮上している。「80項目以外に原因があるのか、それとも過熱防止対策がうまく機能しなかったのか…」。航空関係者は首をかしげた。

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(3/4ページ)[航空事故・トラブル] バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

 原因調査は現在、国土交通省主導で進んでいる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のCTスキャンでバッテリーを解析し、製造元のGSユアサ(京都市)では分解検査が行われている。

 国交省幹部は「バッテリーが焼け焦げた1年前のトラブルに比べ、今回は比較的きれいな状態で残っている」としつつも、「調査事項も多く、長丁場になることは避けられない」とも話し、原因解明が長期化するとの見通しを示した。

“難問”解明なるか

 一方、昨年1月のバッテリートラブルについては、米運輸安全委員会(NTSB)や日本の運輸安全委員会が多角的に解析しており、調査は終盤を迎えている。

 米ボストンの国際空港で日航機から出火したトラブルを調べているNTSBは今年1月8日、ホームページ上で今後の見通しについて3月をめどに調査を終え、秋には最終報告書を公表する方針を明らかにした。出火原因について何らかの言及があるとみられる。

 一方、飛行中の発煙により全日空機が高松空港に緊急着陸したケースを調べている運輸安全委も昨年11月、最終テストとしてバッテリー内の電池を強制的に発熱させ、熱の伝わり方を調べる検証作業を実施。現在は結果を分析しながら報告書の取りまとめ作業に入っている。

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バッテリートラブルがあった機体と同型の日航ボーイング787=1月15日、成田空港

 運輸安全委の工藤正博首席航空事故調査官は産経新聞の取材に対し「トラブルからすでに1年が過ぎており、少しでも早く報告書をとりまとめたい」と述べ、作業を加速させる意向を示した,rmtssp

 ただ、バッテリートラブルの原因が解明されないまま運航が継続されている現状を不安視する向きもある。機体のメカニズムに詳しい航空安全コンサルタントの佐久間秀武氏は「ボーイング社は80の対策を行ったと言うが、今回の現象からいえることは、(トラブルの原因である)“火元”は断たれていないということだ」と指摘した。