溶接実習
これは、とある工業高校で実際に起きた話である。
その日は実習授業の一環として溶接が行われていた。鉄を溶かして加工する溶接では、凄まじい光とともに数千度の熱が発生する。
そんな中、ある男子学生が額の汗を拭おうと、目を保護するための遮光マスクをはずしてしまった。そしてその瞬間、隣の学生の溶接作業から発せられた強い光を直接見てしまう。
その夜、コンタクトレンズを使用していた彼は、いつものように目から外して寝ようとした。しかし、いつもと違ってレンズがなかなか外れない。彼が焦って手に力を入れると、ぽとりとコンタクトレンズが手のひらに落ちた。だがその瞬間、彼の片目の視界が闇に包まれた。
彼はパニックになって救急車で病院に運ばれると、医者からこう言われた。
「あなたのコンタクトレンズは、角膜と完全にくっついていました。恐らく、溶接中の強い光を直接見てしまった際に、コンタクトレンズと角膜とが癒着してしまったのでしょう。残念ですが、もう片方の目も…」
それからしばらくして、彼の視界は完全に失われた。


