再度、父が警察署にお世話になった数日後の土曜日、今後どうするかを相談するために実家を訪れた。


近所に住む姉も来てもらい、そして今後の事を話し合った。


丁度、父の介護度の認定結果が出て、要介護2と言う結果だった。


「要介護3なら特養に入れたのにね。」(私)


少々、結果が残念に思えた。


「多分、お父さんは調査員の前だと大人しく素直に受け答えしていたからじゃない?」(姉)


5月の調査の際に付き添った姉が言った。父は第三者の前では極めて「良い子」だった。


「一度、地域包括センターにお父さんを連れて行って相談しようか?急に怒り出すことも説明した方が良いかと」(私)


地域包括センターへ電話し、今週の一連の経緯と介護度の結果を説明して、急遽、家族4人で地域包括センターへお邪魔する事となった。


父も地域包括センターへ行くことに素直に同意してくれた。


急に家族4人を迎え、地域包括センターの方も困惑した様子だった。


「いきなり一家で来られても・・・。」(地域包括センターのスタッフ)


当初より対応してくれていたスタッフも苦笑いしながら迎えてくれた。


「要介護2だと特養は無理ですが、要介護3への変更申請中と言う事で特養に申し込んでおくことは可能です。あと、特養に拘らなければ、何処か受け入れてくれる施設を探すことは出来るでしょう。ただし、認知症の男性の場合、受け入れてくれる施設は多くはなく、見つけるのに少し時間は掛かるかと思いますよ。」(地域包括センタースタッフ)


「そうですか。。」(私)


「それよりお母さんも結構弱っているようなので、先にお母さんの施設を探した方が良いかも知れませんよ。女性なら受け入れてくれる施設も多いです。」(地域包括センタースタッフ)


「母も要介護3では無いので、特養は無理だと思うのですが、どう言った施設で幾らぐらいで入れるものなのですか?」(私)


スタッフは幾つか高齢者施設の資料を見せてくれた。それらは月15万から30万以上とかなり差があった。


「お母さんが先に施設に入ってもらい、お父さんは認知症はあるものも体は元気なので、自宅で介護保険を使ってヘルパーさんを週何度か入れて面倒見てもらって生活していけるのでは?」(地域包括センタースタッフ)


「なるほど、そう言うやり方もありますね。」(私)


「あと、お父さんは何か好きなものは有りませんか?将棋とか、囲碁とか?」(地域包括センタースタッフ)


「将棋は数年前迄、パソコンのゲームで遊んでいて、好きだと思います。」(私)


「では、介護保険を使ってデイサービスで将棋を楽しんで貰ったりしましょうか?」(地域包括センタースタッフ)


「お父さん、将棋しに行く?」(姉)


「俺にはわかんねえ。」(父)


明らかに機嫌が悪そうな答えだった。父は、認知症の影響か、待たされると機嫌が悪くなる。


「ちょっと父が限界になって来たので、また相談してご連絡します。とりあえず、ケアマネジャーの選定をよろしくお願いします。」(私)


地域包括センターのスタッフよりデイサービスのパンフレットを幾つかもらい、実家に戻った。


「こう言うサービスに申し込むとしても、まずはケアマネージャーに介護計画を作って貰わないといけないんでしょ?」(姉)


「よく分からないけど、そうらしいね。」(私)


この頃、まだ私も介護保険の仕組みを良く理解できていなかった。


結局、今後どうするかについては、ケアマネージャーの選定後に決めることになった。


ここで姉がこんな事を切り出した。


「前にお母さんから養子縁組の件、相談された時に断っていたけど、手続き進めても良い?」(姉)


「うん、良いよ。」(母)


母は戸惑いながら答えた。


数年前、母から私にこんな相談があった。


「実はあなたとあなたの姉は、戸籍上、お母さんの子供にはなっておらず、もし何かあった場合には、お母さんの財産はお母さんの兄弟へ流れてしまうんだよ。そうならない為にも今のうちに養子縁組しておいてくれない?」


以前にも書いた通り、母は「継母」で、産みの母親ではない。


相談を受けた私はすぐに母と養子縁組をした。


ただ、姉はこれまでの母との軋轢などから、養子縁組を断っていたのだ。それなのに、このタイミングであまりに露骨では無いか、と私も思った。


母がそれで良ければ私がとやかく言うことでも無いが、明らかに財産狙いとしか思えなかった。