こんにちは。

AC です。



夜中の2時前に目をさましてしまったので、テレビのチャンネルを動かしてみたら、なんと、3月に放送を見逃してしまったNHK「SONGS」の番組が始まったところでした。

2013年12月30日、65歳で急逝した大瀧詠一が生前行ってきた「ナイアガラ・レコーディング」と呼ばれる大規模な録音スタイルを、番組のためだけに再現したものです。

まさしく「夢で逢えたら」(^з^)-☆

大瀧詠一
大瀧詠一

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NHK総合『SONGS 大滝詠一 ~夢で逢えたら~』

放送日 2016年3月19日(土) 23:30~23:59
再放送 2016年12月9日(金) 26:00~26:29

ナレーター:薬師丸ひろ子
出演:薬師丸ひろ子、鈴木雅之、井上鑑ほか
Daylymotionで観ることができます!
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「大瀧詠一」と「大滝詠一」の2つの表記があります。

私は「はっぴいえんど」時代から聴いているので「大瀧詠一」という表記に馴れているのですが、1976年の「NIAGARA TRIANGLE VOL.1」あたりから「大滝詠一」という表記を使っているのに改めて気づきました。時代によってどちらも正しいんですね。

ナイアガラトライアングル
ナイアガラ・トライアングル「NIAGARA TRIANGLE VOL.1」(1976)


この番組のナレーションは、薬師丸ひろ子が担当しています。

薬師丸ひろ子は、1983年に同名の映画主題歌「探偵物語」を提供されただけでなく、カバーアルバム「時の扉」(2013)では「夢で逢えたら」をカバーしています。

SONGS薬師丸ナレーター

井上鑑(あきら)を始め、かつて大滝詠一とレコーディングを行ってきたミュージシャンを中心に総勢20名が集結。ギタリストとして鈴木茂も参加しています。

登場すらミュージシャンの顔ぶれは、日本のポップス創成期から活躍している物凄いメンバーで、まさしく「ナイアガラ・レコーディング」が再現されていると思います。

大瀧詠一の死後、ナイアガラレコードの遺品整理の過程で新発見に至ったマスターテープを基にした、セルフカバー曲を中心としたオリジナルアルバム「DEBUT AGAIN」が、2016年3月21日に発売されました。

大滝詠一「DEBUT AGAIN」(2016)
大滝詠一「DEBUT AGAIN」(2016)

番組ではこの日のレコーディング・ドキュメントと、アルバム「DEBUT AGAIN」に収録された曲から3曲のライブパフォーマンスを放送しました。

セルフカバーの大瀧詠一のボーカルは気持ちの良いほど安定しており、楽曲のイメージを形成する上で「ボーカル」の持つ役割の大きさを感じることができます。

スタジオで歌った薬師丸ひろ子と鈴木雅之は、ボーカル力があると定評のあるお二人ですが、やはり大瀧のセルフカバーの方が優っています。

SONGSオープニング

SONGSストリングス

SONGS鈴木茂


【セットリスト】

♪探偵物語

(Vo)薬師丸ひろ子

(Pf&Arr)井上 鑑
(Org)中西康晴
(E.B)長岡道夫
(Dr)上原“ユカリ”裕
(E.G)鈴木 茂
(E.G)村松邦男
(A.G)吉川忠英
(A.G)安田裕美
(A.G)笛吹利明
(Perc)浜口茂外也
(Perc)斉藤ノヴ
(Perc)川瀬正人
(Str)金原千恵子ストリングス

♪Tシャツに口紅

(Vo)大滝詠一
(Vo)鈴木雅之

(Pf&Arr)井上 鑑
(Org)中西康晴
(E.B)長岡道夫
(Dr)上原“ユカリ”裕
(E.G)鈴木 茂
(E.G)村松邦男
(A.G)吉川忠英
(A.G)安田裕美
(A.G)笛吹利明
(Perc&Xyl)浜口茂外也
(Perc)斉藤ノヴ
(Perc)川瀬正人
(Str)金原千恵子ストリングス

♪夢で逢えたら

(Vo)大滝詠一
(Vo)鈴木雅之
(Vo)薬師丸ひろ子

(Cemb&Arr)井上 鑑
(Cemb)難波弘之
(Str)金原千恵子ストリングス

2014年1月4日、都内で営まれた葬儀会場に未発表であった大瀧詠一自身の声による「夢で逢えたら」が流されたことでわかるように、「夢で逢えたら」は自身の代表曲と認識していたようです。

大瀧詠一のセルフカバーが、提供した歌手の「オリジナル曲」より優れていると感じるわけですが、

ただ一つ、セルフカバーをはるかに凌駕している「オリジナル曲」があります。

それが、この『夢で逢えたら』です。


「夢で逢えたら」のオリジナル曲は、吉田美奈子のアルバム「FLAPPER」(1976)の中で、吉田美奈子自身の歌唱によるものです。(のちにシングルカット)

「フラッパー」吉田美奈子
アルバム「FLAPPER」吉田美奈子

アルバム「FLAPPER」(1976)は、創成期を迎えていた日本のポップアーティストを紹介する意図を持った、吉田美奈子のプロデュースアルバムでした。

吉田美奈子自身の楽曲のほか、大瀧詠一、細野晴臣、山下達郎、矢野顕子、佐藤博の楽曲が吉田美奈子のボーカルで収録されています。

もともと「夢で逢えたら」は、大瀧詠一がアン・ルイスに書き下ろした楽曲で、大瀧詠一が積極的に吉田美奈子に提供したわけではないと伝えられています。

これは私の推測ですが、大瀧詠一と吉田美奈子は旧知の仲でしたが、プロデュース力もオリジナリティもあり、おまけに卓越したボーカル力を持つ吉田美奈子に自分の楽曲が昇華されてしまうことを大瀧詠一には抵抗するすべがなかったような気がします。

「夢で逢えたら」のオリジナル曲であるこの曲は、吉田美奈子の圧倒的なボーカル力によりみごとに昇華され、いまや吉田美奈子の代表曲ともなっています。

その後、大瀧詠一のプロデュースにより、シリア・ポール、ラッツ&スターが歌うことになるのですが、自らのセルフカバーも含めて、ついぞ「オリジナル曲」を超えることはできなかったということかもしれません。

それでもなおかつ、大瀧詠一の代表曲と認識しているということは、吉田美奈子がアルバム「FLAPPER」で意図したことが大きな成果を残したということなのだと思います。



ドラマはいつでも、ハッピーエンド。

「逢えて、よかった\(^_^)/」


それでは、また次回♪