それは目の前に落ちてた
桜が散り 新緑が四方に溢れる そんな眩しい穏やかな風の中 寂しそうに転がっていた
近づいてみたら それは重力に任せてゴロゴロ どん底の 穴の奥底まで転がり堕ちていた
何だろう 気になったので 覗きこんでみた
それは 身動きできないような深く小さな穴の底で もぞもぞしていた
眼に映る全てのものを傷つけるように 自身をも傷つけながら 暴れ もがき苦しんでいた
そして その何かは こちらに手を差し伸べてきた
何だろう その手を掴んで 引っ張ってみた 中々出てこない どうしよう
でもそれは 引っ張ったのをきっかけに 少しずつ自力で登れるようになったみたい
そして ほどなく地面に上げることが出来た
誰が捨てたのだろう? ボロボロだよ
そっと拾い上げた 弱々しい鳴き声 もう大丈夫だよ

気づいたら その鳴き声は自分の声だった
気づいたら 自分が拾い上げられていた