校長との面談は午前10時。

9時50分、学校へ到着致しました。


主人もお仕事をお休みし、一緒に最後の挨拶に伺いました。

校舎に入ると担任と教務主任と丁度会い、校長室へ案内して頂きました。

何もなければ絶対に入る事のない部屋です。

校長室は明るく、床一面ベージュのじゅうたんが敷かれてあり、絵画などの美術品なども飾られてあり素敵なお部屋でした。


まず校長と挨拶を交わしソファに座りました。



一見穏やかそうに見える校長ですが、表情は硬いです。

校長は、

「今まで先生方から、君の気持ちや、ご両親の気持ちを聞いてきましたが、私も君の気持ちを直接聞きたい。
そして、引き止められるのであればそうしたい」

と、言われました。

(引き止めたい?)

のび太は

「1年の頃から学校が楽しくなくなって辞めたいと思う様になり、2年になりその気持ちが強くなり決めました」

と答えました。

校長は
「将来の事はどう考えてるの?」

「美容師になりたいので専門学校へ行こうと思ってます」とのび太。

「専門学校は、高校の卒業資格が絶対必要だからね。
大学は高校の卒業資格がなくても受けられるけれども。
みんな、何年か先には社会に出ます。
その為には本当は全日制の高校にいた方が楽なんです。
先生が言う勉強だけをすればいいのだから。

君の今までの成績はとても優秀だから勉強面においては問題ないと思っているんだけど、生活面で、君はちょっと厳しい道を選んだから、しっかりとした強い気持ちを持っていかないといけないんだよ。

ここでご両親にきちんと頑張って行く事を誓って下さい。
先生が承認になりますから」と。

のび太は

「頑張ります」と答えました。

私達はうなずきました。


そして校長は、

「最後に君がこの学校を辞めても、君と一緒に入学した友達はあと1年半はここにいます。
だから君もここの生徒と同じ様に、進路が決まったり何か相談があれば学校に連絡して下さい。約束して下さい。いいですか?」

「はい」とのび太。


「では…これで終わります。
わざわざご足労頂きありがとうございました」

と言われたので、

「こちらこそ、お忙しいのに、お時間を頂きありがとうございました。
そしていろいろとご心配、ご迷惑おかけしてすみませんでした。
本当に今までお世話になりました。
ありがとうございました」

と深くお辞儀をし退室致しました。

校長との面談は20分間で終わりました。

校長は始終、笑顔はなかったものの、最後はとても寂しそうな表情をしておられました。


ドアの外にはまた、担任と教務主任が待ってありました。

次は提出書類の件での話を隣の応接室で行いました。