出身地を知らなければ中国人は分からない(宮崎 正弘著)読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

著者の宮崎氏が、中華人民共和国と台湾をくまなく現地視察して書き上げた、地方色豊かな中国各地のお国事情と地方ごとに異なる中国人気質を紹介した本。

一般的に北京人・上海人・広東人・福建人ぐらいは、言葉含め、それぞれの特徴がよく知られているが、北は東北地方から南は広西チワン族自治区まで、そして海外の華僑事情まで網羅するという中国人なら、漏れなく紹介したという印象。

中国の言語が地方ごとに通じないのは有名だが、それぞれの地方の人の性格までこれだけ詳細に説明した本はなかなかない。

現代中国関連に興味ある人、ビジネスが関わる人には大変参考になる本だと思う。


特に面白かったエピソードは、4本足のものなら机以外は全て食べるといわれている「食在広州」の広東人。日本にやってきた広東人が、日比谷公園の鳩を生け捕りにして持ち帰り、丸焼きにして食べてしまうので、日比谷公園の鳩が減ったというエピソード。でも日比谷公園の鳩は不味くて、食用の鳩には適わないという広東人の感想。やはり、ことわざは真実だったのですね。

この他、漢族以外による王朝(五胡16国、元、清など)を中国共産党は、侵略国家とみなしているか、中国王朝とみなしているか?という問いに対し、著者の解釈は、中国王朝とみなすべきとの回答。

これについては、そもそも中国人は、雑種で農耕民族も遊牧民族も、中国エリアに住めば、結局みんな中国人と呼ぶべしという考え。

事実、標準語が話せる中国人は、未だに全体の53%。

また、皆中国人とはいっても、モンゴル人、ウイグル人、チベット人などのマイノリティーに対する差別は厳然と残っており、イスラム教徒のウイグル人に対しては、コーランも発禁書扱いになっているなど、その政策は、とても5族共和というイメージはない。学校での授業も、標準語ばかりで、マイノリティーに対する同化政策は相当進んでいるようだ。