「日本人のためのアフリカ入門(白戸圭一著)」読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

毎日新聞のアフリカ(サハラ以南)専門家による、ちょっと変わった入門書。というのは、網羅的に地理・歴史・政治・経済などを記述しているのではなく、日本人が一般にイメージするアフリカに対するアンチテーゼ的な視点で記述。

著者自身のアフリカに対する愛情から、アフリカを色眼鏡でみるのではなく、透明なメガネでみて欲しいという思いから、内容がこうなったとの事(実際は彼の色眼鏡ですね)。

私も、観光による2回のドライブ旅行で、南アフリカとボツワナを観てまわりましたが、それ以来すっかりアフリカの魅力に取り憑かれ、機会があればまた行きたいと思っている方ですが、彼の著作は、今のアフリカをある面、的確に表現できているとは思います。

今のアフリカを知りたい人、まずは、この本を手にとって、更に彼自身が最後に紹介してる本、そして彼自身による他の著作「ルポ資源大陸アフリカ」などを読むと、よりアフリカに対する理解が深まるのではないかと思います。

僕自身、この本を読んで一番興味深かったのは、アフリカ諸国との関係を通じた中国の日本に対する様々な妨害行為です。大学時代、中国文化が専攻で、北京に短期留学した時、第3世界のリーダーシップ国を自認していた80年代の中国は、多くのアフリカの留学生を受け入れるなど、中国とアフリカとの関係は深い。

特に中国は政治体制が中共独裁ということもあり、アフリカに多い独裁国家との親和性が高いことから、日本をライバル視した様々なアフリカ諸国に対する対日妨害工作が本書には描かれており、この点はちょっとビックリでした。

二番目に興味深かったのは、アフリカに対するアフリカ・スキーマ。大学時代の講義で孫文の著書「建国方略」を読んで、彼の云う三民主義の民主という意味「支配者(孫文)の被支配者(中国人民)に対する視点」は、まさに日本人のアフリカ人に対する視点「アフリカスキーマ」と一緒なんですね。民度の低い中国人民のために、彼らがちゃんと生きられるように中国を変えなけれないけないというのが、孫文の視点。つまり、西洋的な個人の自由や自立から発した民主主義ではないんです。

白戸さんが警告するアフリカを無意識的に対等の立場でなく、援助すべき可哀想な国々の人たちという視点、つまりアフリカスキーマに陥ることの危険性を彼は訴えているのが印象的でした。