【気づきと反省点①:レース展開について】
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前半を押してテクニカルセクションを明るいうちに抜けた判断は正解だった
雨と滑りやすい岩場が続く区間を明るいうちに抜けられたことで、精神的にも余裕を持って通過できた。この判断は大きかった。 -
後半に余力を残すべきだったか?という問いに対して
「もっと温存すべきだったのでは」とも考えたが、それは違う。前半を“押しすぎた”わけではない。単に走力そのものが足りなかったのだ。 -
70kmで足が切れた原因は、距離というより走力不足
もし今回が100kmレースだったなら、もう少し走ることを続けられていたかもしれない。つまり、持久力の絶対量が不足していたということ。 -
練習不足の大きな要因は貧血
想定していた練習の60%ほどしかこなせていなかった。特に下りの練習量が足りず、早い段階で大腿四頭筋に過負荷がかかった。 -
ハムストリングや臀筋(お尻)の筋力不足も影響
その結果、太もも(大腿四頭筋)ばかりに負担がかかり、走り続けることができなくなってしまったと考えられる。
【気づきと反省点②:補給について】
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前半は計画どおり45分〜1時間ごとにジェル補給ができていた
このタイミング管理はうまくいっており、エネルギー維持に役立った。 -
塩おにぎりが一番効果的だった
胃に優しく、しっかりとエネルギーになった。体調が悪くなってからも比較的受け入れられた。 -
トイレを我慢したことによる吐き気が補給に大きく影響した
吐き気が出てからはジェルが喉を通らず、初めて胃腸の不調を経験した。トイレの我慢が補給不良につながることを実感。 -
バックパックのジェル配置の工夫が必要
どのポケットにどのジェルがあるかを把握しておくと、味に変化をつけられる。
→ 今回はエイドでもらったPUREが手前に集中し、奥に手を伸ばすのが面倒で、同じ味ばかり摂ってしまい、気持ち悪くなった。 -
次回はドロップバッグに“カップ麺以外”の補給食も入れておきたい
塩気や温かさだけでなく、気分を変える「味の選択肢」が必要だと感じた。
【気づきと反省点③:装備について】
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最大の反省点はシューズの選択
レース序盤に履いていたシューズが合わず、足の痛みや不快感につながった。
しかし途中で交換した一度しか試していなかったHokaのシューズが思いのほか快適で、後半の復活につながった。
→ 教訓:レース前に“本命シューズ”は早めに見つけて、十分に試しておくべき。 -
新たに導入したギアに救われた場面も多かった
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パゴワークス Rush 11R
フィット感が抜群で、長時間背負っていても疲れにくかった。今回のレースで非常に信頼できる装備の一つとなった。 -
Naked ウエストベルト
ポールの装着がしやすく、携帯や薬、ジェルなども収納できて便利だった。
ただし、トイレ時にポケットから物を落としそうで不安感あり(実際にラミネートした予定表を紛失)。 -
ベースレイヤー(初使用)
雨に濡れても冷えを防いでくれた。夜間でも体温をキープし、Tシャツの着替えも容易だった。
→ レースでは吸湿・速乾だけでなく“冷え対策”としても重要。 -
アームカバー
ウインドシェルを着るほど寒くない時に、上げ下げで体温調節できて非常に便利だった。 -
Lululemonのランニングパンツ(メンズSサイズ)
素材感が良く、長時間の着用でも不快感がなかった。走っていてストレスがなかったのは大きなポイント。 -
マイルストーンのヘッドライト
一番暗いモードで使用していたため、電池交換なしで最後まで持った。
使用時間:1日目早朝・夜から朝まで・2日目の夜30分ほど。 -
指先が空いたグローブ
岩場やロープを使う場面で非常に役立った。グリップ力と手の自由さを両立できた点が◎。
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【気づきと反省点④:メンタルについて】
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想像以上に「つらい」と感じている時間が長かった
特に走れなくなってからは、ずっとつらさを感じていた。
不思議なことに「やめよう」とは一度も思わなかったが、前に進むこと自体が苦しかった。 -
Foggy Cob や Medlow Gapでは心が折れかけた
足の痛みや険しいコースに加え、視界も悪く、精神的にかなり落ち込んだ。
ただ、そのたびに誰かが隣にいてくれたことが救いだった。
→ 誰かと一緒にいるだけで、メンタルが保てた。 -
これは練習不足、経験不足によるものだと理解している
身体の強さと同じように、メンタルも“練習で鍛えられる”ものだと信じている。 -
夜間、誰かと会話できることの大切さを痛感した
特に中国人のBoscoと一緒に歩いた時間は、孤独感を忘れさせてくれるもので、とても大きな支えとなった。 -
多くのランナーが途中からペーサーをつけていたことも印象的だった
→ 次回また挑戦することがあれば、自分もペーサーをつけてみたい。
心強さだけでなく、孤独な時間を共有できる楽しさがありそうだと思った。 -
自然の景色が心を救ってくれた瞬間もあった
雨が続いたものの、雲海や星空など、美しい瞬間に出会うたびに、心がすっと落ち着いた。
→ **「もっと写真を撮れる心の余裕があればよかった」**という小さな後悔もある。 -
音楽に対する価値観が変わった
これまでは「音楽は邪道かな」と思っていたが、今回は明らかに音楽に救われた。
→ 真夜中のお楽しみとして、今後も音楽やポッドキャストを活用したいと思えるようになった。
【今後に向けて】─ チャレンジは、まだ続く
レースが終わってから1週間が経った。
身体の疲労が取れてきた今、じわじわと悔しさが込み上げてきている。
「失敗だった」とは思わない。でも、改善できる点は山ほどある。
レース中は、100マイルはただただ「つらいもの」としか感じられなかった。
けれど、今は違う。時間が経つにつれて、それは「チャレンジしがいのあるもの」に変わってきている。
だからこそ、これからもっと草レースに出て経験を積みたい。
たとえば、コースロストしてもパニックにならない心構えを身につけたいし、外でのトイレ問題にも強くなりたい(笑)。
そうした一つ一つの経験値を重ねていけば、自分はもっと強くなれるはずだ。
今回の100マイルは、「マラソンとはまったく別の競技だ」と感じた。
でも、逆に言えば「まだまだ伸びしろがある」とも思った。
もし今「サブ3(フルマラソン3時間切り)」を目指すのは難しいと思っていても、
山やロングレースには、積み重ねによって越えていける壁がある。
だからこそ、「また挑戦したい」と心から思える。チャレンジできることは、楽しい。
そして今回のレースでは、たくさんの人に支えてもらった。
練習の段階からグループで走った仲間たち、レース中に応援やサポートをくれた友人たち。
言葉では足りないほど、感謝の気持ちでいっぱいだ。
もっと練習して、もっと経験して、もっと強いランナーになりたい。
自分の感覚では、UTMBの完走を目指すなら、このUTA100マイルをサブ32(32時間以内)で走れる力が必要だと感じている。
また、オーストラリアの経験豊富なランナーたちは、みんなコーチをつけて練習している。
「あなたもコーチをつけた方がいい」とアドバイスしてくれた友人もいた。
これまでコーチをつけるという選択肢は考えたことがなかったけれど、
今は「実際に試してみるのも面白いかもしれない」と思っている。
長くて大きな挑戦だったUTA 100マイルが終わって、少しずつまた、新しい目標に向けて気持ちが動き始めている。次の挑戦に向けて、また一歩ずつ歩いていこうと思う。







