無茶苦茶ご無沙汰しておりました。

せめて、お月ちゃんが我が家に来た日を記念して

この一年をふり返ってみました。

 

 

去年は

せっかくの中秋の名月に

雨がふりました。

 

それでも

すこし風が吹いて

雲のすき間から

月の光がさしたとき

隣の空き家の塀の上、

林檎と琵琶の木の枝の間に

小さな黒い影が映りました。

 

塀がぬれていたので

葉っぱの影かと思い

目をこらすと、

小さな影にはしっぽがありました。

 

 

翌朝

同じ場所に

今度は白い塊がじっとしています。

急いで窓からテラスに降りて呼んでみましたが動きません。

 

他の外猫にあげていたキャットフードを

うちの塀において

暫く家の中から様子をみていました。

 

午後になって

日が射してくると

濡れていた塀もかわき

他の半外猫たちも迷路のような塀を歩き始めます。

気付くと、仔猫の影は見えなくなっていました。

 

その日の晩も仔猫は

昨日と同じ塀の上にうずくまっていました。

その夜は満月

九月にしてはとても暖かい夜でした。

でも、仔猫の毛は木の葉の雫で濡れているようで

所々束になっています。

 

 

 

翌日は朝からいい天気

テラスに降りて

隣の荒れた庭に目をやると

あの仔猫が庇の雨どいで用を足しているのが見えました。

 

庭の土は濡れていて

トイレにできる場所が見つからなかったのでしょう。

顔には泥がついていて

シッポはボサボサで枯れ草がべっとりくっついています。

 

もう一度

キャットフードを見せて呼んでみると

今度は近寄ってきます。

 

隣との境を隔てる金網に小さな穴を開けて、

トイレ用の砂ときれいな飲み水、

古いセーターを敷いた段ボールも置きました。

 

脱水状態が心配で

キャットフードもお汁たっぷりのモノを器に盛ると

いい匂いに誘われて

仔猫は大急ぎで塀をよじ登り

金網に開けた穴からテラスへ入ってきました。

 

ゴロゴロ ゴロゴロ

むせながら、器に頭を突っ込んで

夢中になって食べています。

 

匂いに誘われて

常連の外猫たちもやって来るので

そちらにもご飯をあげながら

イジメられないようにガードを固めて…

 

と思っている間に

この仔猫ちゃん

『シャー ! シャー !』

と、自分のご飯は自分で守っています。

なかなか、気が強い子です。

 

ご飯の後はトイレ

清潔なトイレへまっしぐら

目を細めてナガーイナガーイオシッコをしました。

 

«これは、やっぱり飼い猫だね»

 «でも、どうして一人ぽっちになっちゃったの?»

 

その晩

仔猫は段ボールの中ではなく

上に張った防寒用シートの上で寝ました。

きっと、そこは

もし危険が近づいて来たら

すぐ見える場所だったからでしょう。

 

 

幸い例年にない穏やかな秋日和がつづいて

仔猫の毛は乾き

泥だらけだった脚もきれいになって

一皮むけたようにかわいい三毛猫ちゃんになったのは

それから2.3日経ってからです。

 

毎回、私が家の中に入ろうとすると

窓の縁に先回りをして『入れて!入れて!』と叫びます。

 

でも、うちには憶病なレナがいるし…

クリストフのねこ毛アレルギーも心配だし…

(@_@ ;) どうしよう〜〜〜〜

レナを貰った猫の保護団体にメッセージを送り

『探し猫』のサイトに写真をのせ

猫好きの生徒さんや友だちに

「もう一匹、猫飼いませんか〜?」と頼んでみましたが、

保護団体の里親さんは満杯状態

猫好きさんたちも『うちの猫がねぇ…』と

なかなか引き取り手が見つかりません。

 

そして、10月1日

天気予報が急激な寒波の到来と向こう一週間の長雨を発表しました。

私はクリストフに『とにかくうちの中にいれる!』と宣言し、

空いていた三階の一室を隔離部屋にして

この仔猫を家に入れたのでした。

 

翌日は、獣医さんの所に連れて行き

飼い主登録がされていないことを確認して貰ってから身体検査、

『この子、熱がありますよ。耳ダニで耳も真っ黒。どうしますか?』と、獣医さん。

 (◎_◎ ;)

『あのぅ、下痢もしてますし、蚤もいます』と私

『とにかく、私この子の面倒見ますので、治療してください !』

 

こうして

お月ちゃんは

その日からの三週間

下痢と熱、耳ダニ退治に耐え

我が家の一員になったのでした。

窓を隔てて内と外

今では

こんなに可愛いかぐや姫になりました