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肌寒い晴れた日の朝1番。

昨日より断水・断食の
『あ』を連れて、病院へ向かった。


背中のグリグリの正体は
いかに?である。


昨日一晩あの手この手でご飯ご飯と
ひとり戦い抜いた猫の『あ』は、
かなり機嫌を損ねつつも
自分が何処に向かっているのか
分かっているようである。


根津はシンパチ名は東大。


診療所に入ると居るわ居るわのわんこたち。

だが、静かなのである。

病いを持す生命の静けさがそこには漂っていた。


静かなる痛みである。



で、待つ事30分。

ビビリながら診察室へ。


で、診察台にアツコ登場!

「・・・・・・。」

やはり『あ』はゴジラと化した。


ふぁ〓ふぁ〓と仁王立ちして
吠えた。
吠えまくった。

心残りは微塵もないであろうが如く、吠えた。



で、軽く診断後『あ』は、
針で腫瘍の細胞を摂取するために
診察室の奥へ退場。


宜しくない。


で、相棒も、撮影のため一人退場。

一人である。


宜しくない。


結果を待つ事、1時間半。
長いひたすらに長い長い時間であった。


人の前を犬とドクターが、何度も何人もタクタク通行。


宜しくない。


診察室の向こうの方から猫の大絶叫が響いてきた。


非常にこの上もなく、宜しくない。


頭のなかは世界一の被害妄想者と化し、
心は豪雨である。


とにかく『あ』に会いたくて会いたくて、
もはや気持ちは乙姫である。


切ないのである。


自分の名前が呼ばれるのが、後少し遅ければ
こっちが胃癌になっていたが如き
時間であった。


本当に変われるものならば。


チクタクチクタク時間は刺さる。



で、ようやく呼ばれて
再び診察室にはいると、
『あ』はカチンコチンになったまま
「ウゥ-ウゥ-ウゥ-ウゥ-ウゥ-ウゥ-」と
唸っていた。


それは、携帯のバイブレーションのようである。


生きた振動。である。



さて、問題のグリグリは?

何?


100%とはいーきれないが、脂肪腫である。
ちゅー事であった。


メタボではないシンドロームである。



よく晴れた日の青き空だ。
心がようやく晴れた。


我が脳みそを占領していた被害妄想は
サッサと失せ、バイブレーションしている
アツコが前以上に愛しくなった。


心の豪雨は嘘のよーに止み
何重にもでっかい虹がでた。

出た。

ん~

これこそ平和と調和である。


さぁ〓『あ』よ!

我が家に帰ろう!


そして、アツコは・・・
4.9Kgのバイブレーションと化した。


愛は重い。


とても、重い

のであった。