1. 破片セレナーデ


ほんものの海である。


先日、相棒と最後の夏を確かめに遠出した、


行き先は「99」の海。


本当に久々の海であった.

波が高く勢いがある生きた海であった。

夏の名残り日のごとき暑い一日であったが
夕日は確かに冬へ向かっていた。

ごちゃごちゃと頭の中から
現実のかすがドコドコ出て
波風に吹かれ飛ばされていった。


バイバイ!である。


言葉なく目の前のほんものの海に
ただひたすら途方に暮れた。


海じゃ~


ただ、それだけであった。


あまりに美しき厳荘なる光景は
すこし危険である。

無心になり過ぎその光景が
あまりにも強烈に脳みそに
刻まれる。


こうなったら何を見ても
何を感じてもひたすらに
その光景のみが頭の中を
自由自在に駆け巡る。

無邪気に、大胆に。


破片には決してならない。

だからすこし写真にぱこって
現実の形にしておいた。

思い出さずして耳鳴りのように
あの海の波の音と風にゆだねた
海の姿に覆われる。


海じゃ~













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