読書家の芦田愛菜さんおすすめの作家さんとの事で、色々な作品があるとも聞き、どれを読もうかなと悩んでいました。

何となく、表紙の子供が気になったので、読んでみました。


冒頭、何の不自由もない家族の物語かなと思ってましたが、全く違いました。


簡単に紹介します。

40代の夫婦には、「朝斗」という6歳の男の子がいる。この男の子は、特別養子縁組で夫婦の子供となったのだが、ある日、実母である「ひかり」から電話があり、「子供を返してほしい。もし拒むなら、お金が欲しい。それも無理なら、周りに朝斗の秘密をバラす」という内容で連絡が入るのですが…。


読みながら感じたことを書きます。


この夫婦、働き盛りの30代後半となり、子どもを望むのですが、自然に妊娠する事がなかったため、不妊治療に望みます。初めはタイミング法ですぐにできると思っていた矢先、夫の無精子症が判明します。両家の家族も巻き込んで、子どもを授かりたい一心で、体外受精に移ります。5回のチャンスと言われ、3回目まで失敗に終わり、途方に暮れていた2人。2人は「もうやめよう」という決断を下しします。


現代社会では、同じような境遇の夫婦がかなりいると思われます。不妊治療をどこまで続けるのか。これは夫婦の考え方によって、大きく変わる問題でありますが、毎回淡い期待を持ちながら、その期待を裏切られる度に自分を責め、思いが成就しない苦しみを抱きながら過ごす日々は、筆舌し難い苦しみであると思います。


特別養子縁組の道を選んだ夫婦。当時10代で子供を産んだ実の母。それぞれに事情がありながらも、交錯する人生模様に涙しました。


素敵な読書体験をありがとうございました。