12日の死神 |   サテアン

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あ、今日は8月12日か




しかも2016年か・・・






14年間、僕の成長の隣にいつもいた愛犬が死んだ日から10年が経つ




その日は彼の最期を看取るために飼われていた母の実家に泊まり込んでいた




そしてその未明




彼は最後の力を振り絞って顔を上げ、僕の目に焦点を合わせた




その直後、僕は僕の手の中で彼の鼓動が消えていくのを理解した






それから3年




数ヵ月前から入院していた祖父の見舞いに初めて訪れた日




病室に入ると、看病に疲れ果てた母の姿が映った




「次の休みは僕がずっと看てるから家に帰りな」




そうして初めて僕が祖父の入院に付き添ったその晩




祖父は突然最後の力を振り絞って顔を上げ、僕の目に焦点を合わせた




その直後、そこは全てが停まって不思議な静寂で包まれた




4月12日のことだった







12日




普段会いにいかなかった僕がたまたま現れると


彼らは僕の目の前で最後の挨拶をしていく




おれは死神か?








そういえば、こないだ犬を轢いた




向こうから狭い側道を走ってきた犬が


なぜか僕が運転する車を見ると突然進行方向を変え


誰かと再会したかのような笑顔で真っすぐ僕を見ながら車の前に飛び込んできた




まるで何かにとりつかれて引き寄せられるように・・・




やっぱりおれは死神なのか?





車の下からゴリゴリとトラウマになりそうな振動が伝わってくる




隣に乗っていたステイ先のおばさんは狂ったように乱れている




おばさんに停止を求められて仕方なく轢かれた犬を見に行った




現場にあったのは壊されたナンバープレート



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「あぁ、ナンバープレート落ちちゃってたんだ、一応停まっといてよかったな、、」




顔を上げて道の反対側を眺めると




轢かれた犬が他の犬と元気に走りまわっていた






僕は目撃者と話した





どうやら僕が一切ブレーキもかけず、ハンドルも切らなかったことが幸いしたらしい






死神の冷淡さが、逆に一つの命を救うこともあるようだ