規定に違反して君を診た
それが倫理違反だってわかっていたけどさ
苦しむ君を見ていられなかった…
そんなのも言い訳で
ただ、
ただ君が僕を頼ること
そしていずれは愛してくれること
それだけを期待していた
君は馬鹿だよ
あんな変な男の誘いに乗って
それで心を壊すなんて
僕はあれほどやめておけって言ったんだ(こころのなかで…)
他の患者なんて上の空でさ
君との非公式のセッションそれだけが当時の僕の生きがいだった
君は僕になんでも話したね
僕の胸で泣きもした
どんなに辛かったのか、どんなに傷ついたのか
それは君と僕だけの秘密だ
そしてやがて君は僕を愛するようになった
君はそれをはっきりとは口にせず、僕からの告白を待ったよね
全ては僕の思い通りだったんだ
君は僕が君の気持に気づかない鈍感な男だと思ったかい?
そんなわけないだろ?
だって僕はスペシャリストなんだからさ
でも、できなかったんだ
だって僕はスペシャリストだからさ
君は僕といては幸せにはなれない
いずれ辛かったことを思い出してしまうから
君の中で僕は鈍感な精神科医だった
人のことは治せても、自分のことは何もわかっていない
きっとそう思っていたよね
あれから何年過ぎたかな…
きっと僕は君の記憶の淵にかろうじて引っかかっているに過ぎない存在だけど
君は僕の心のど真ん中に今でも居座っているよ
いつも思っているんだ
伝わらないことはわかっていても
今でも愛していると
今でも君の幸せを願っていると
そして、もう二度と会わないことを願っていると