小説・カリスの金貨8
第一章【カリスの使徒】No.7

背広の内側のJIPSのバッジを見せるキャップらしき男。あとの厳ついサングラスをかけた二人が各部屋を念入りにチェックしていく。

「管理者はどなたですか?」

「私が所長のパームですが…。何かあったのですかな?」

「いくつかの質問をしますので…はい、いいえだけで答えて下さいますか?」

「それは強制ですかな…?」

「あなた…質問の意味を履き違えていますね…私達は国家から派遣されているのですよ…断ると言うのなら…所長、あなたを拘束しなければなりませんが? 」

クエンが声をあらげ。

「所長!いけません!従いましょう」

「…」

「よろしいですか?所長、ステファン・ブライアンと言う男をご存知ですか?」

「知っています…」

「はい、いいえで!」

「は…い」

「この写真の男に間違いないですか?」

「…。はい」

「この男が此方に来た…という事は?」

「…。いいえ」

「では…最近連絡などありませんでしたか?」

「…。いいえ」

「…。私達に対して、隠し事はしていませんね?」

「はい…」

「…。分かりました…。そちらはどうですか!?」

「いえ…いません」

一人の男が仮眠カプセル室を開ける。

「そこは…」

「何か!?」

クエンの反応に素早く対応する男。

部屋の中には。

「きゃあ!」

着替え中のレイアがいた。

「やっ…こ、これは失礼…」

そそくさと部屋をチェックする男。

「こちらも…いません」

「…。!?」

クエンの足元の排水構のハッチに目を向けるキャップ。

「それは…?排水構へのハッチですか?」

「はい…」

首を振りもう一人の男にチェックさせる。

“ガチャ、ガチャン!”

「うっ…く、臭い…。キャップ…ここには…無理の様ですが…」

「うっ…分かった、もういい!」

辺りを見回すキャップ。

「分かりました…パーム教授でしたね…今後ブライアンが此方を訪れたり、連絡があった場合は必ず最寄りのジェストリスに連絡を下さい」

「は…い」

「それと…しつこい様ですがこの男を匿ったりしたら…国家反逆と見なし、逮捕拘束しなければなりません…よろしいですね?…そちらの女教授も?」

「はい」

「では…お仕事中失礼しました…ご協力感謝いたします」

ゆっくりと研究室のドアが閉まる。

「ハァ…助かった…」

続く