第1話【閻魔の息子】1-1
“人間は死んだら何処へ行くの?”
“お空の上だよ。”
“それは天国?地獄?”
“うーん、それは閻魔様が決めることだから分からないや”
この物語は遥か遠い雲の上から始まる…。
「ふぅ…。なかなか暇にならんのう。人間の寿命も千年前に比べて長くはなってきておるのに。」
天上の狭間、天魔界を治める主、閻魔大王である。
「当たり前でございますよ大王様。そもそも千年前と今とでは人間の数が比べようにありませんです。」
天魔界のご意見番カド爺。
「爺よ、言わんでも分かっておるわ、私が言いたいのはそんなことではない。人間の寿命が伸びたのにも関わらず、今においても若い命がここに来るのが後を断たないと言っておる。」
「はぁ…。なるほど。」
「千年前は生きたくても生きられない時代、今は生きられるのに生き場ない時代か…。」
「うまい!さすがは大王様、行き場と生き場をかけ…うん、うん。」
「何を言っとるか!もうよい!下がっておれ。」
「し、失礼致しました。」
すごすごと立ち去る爺であった。
「そろそろかのぅ…。」
空を仰ぎポツリと呟く、閻魔大王の目には何が…。
続く