sabeのブログ

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こんなブログを持っていたことを忘れていた。

IDとかパスワードの整理をしていて発見。

使えるかな。

とりあえず投稿

 

 オリバー・ストーン監督の映画『スノーデン』を見に行った。米国の膨大な機密情報を暴露し、インターネットを介した米国情報機関の諜報・監視・軍事活動を白日の下にさらした元CIA職員エドワード・スノーデンの実話を基にした映画だ。東京新聞に先日掲載された監督のインタビュー記事に触発されて見に行ったのだが、内容は衝撃的であり、この事件を詳しく知る人でなければ、必見の映画だと強く思う。
 私が衝撃を受けたのは①米政府がテロや犯罪とは全く関係ないものも含め全世界のメールやフェイスブック、通話履歴、通話内容などを監視対象としてチェックしていたこと②情報収集がテロ対策という目的で実施されていながら、実際には米国の覇権維持が目的だということ③日本が米国の同盟国でなくなったら日本の電力など社会インフラがダウンするよう、既にコンピュータにウイルスが組み込まれている―などという点。映画の描いていることや、スノーデンが主張していることが全て本当かどうかは分からないが、信憑性は高いのだろう。
 日々の大量のニュースの中に埋もれ、あっという間に忘れ去られてしまうが、日本でも日銀総裁や経済産業相の電話が盗聴されていたことが2015年にウィキリークスで暴露され、当時のバイデン米副大統領が、抗議した安倍晋三首相に対して陳謝したこともあった。スノーデンの勇気と正義感にも強い感銘を受けた。是非この映画を観賞し、皆さんにも同じように衝撃を受けてもらいたいと思う。
 最近、日本国内でも、米国の連邦最高裁の判事人事がニュースで報じられた。オバマ政権下で1人欠員の状態が続いていた判事に、保守的な思想・政治志向を持つゴーサッチ氏が指名されたというものだ。日本の最高裁判事の人選についてはほとんど報道されることもないだけに、「なぜ他国の最高裁判事なのに?」と違和感を持ったり、不思議に思った人も多いのではないだろうか。米国で最高裁判事の人事が注目されるのは、その判決の政治に与える影響が、日本に比べて格段に大きいためだ。
 イスラム圏7カ国からの入国を禁止する米大統領令を巡る一連の混乱は、こうした連邦最高裁を頂点とする米司法と大統領を頂点とした米行政の関係、米国における三権分立の姿を浮かび上がらせている。
 ◇ ◇ ◇
 今回問題となっている大統領令は、イスラム圏7カ国の一般市民が米国に入国することを90日間禁止することや、全ての国からの難民受け入れを120日間凍結することなどが内容。これに対しワシントン州などが「違憲で無効だ」としてシアトル連邦地裁に提訴。差し止めの仮処分も申し立てた。連邦地裁は差し止めの仮処分を決定。大統領側は仮処分の即時停止を求めて抗告したが、連邦高裁(控訴裁判所)は即時差し止めの対応は取らなかったという。つまり当面は大統領令に基づく措置は行われず、7カ国からの入国は行われるわけだ。
 これは、選挙によって選ばれた大統領の取った行政措置が、選挙によって選ばれたわけでもない裁判官(裁判所)の判断によって停止させられたということであり、さらに裁判所が最終的に違憲と判断すれば、大統領令自体が無効となる。「民主主義を否定するものだ」との批判を招きかねないが、これこそが三権分立であり、違憲審査権であり、連邦最高裁の力の源泉である。大統領の決定までひっくり返す権限を持つ最高裁だけに、その長官や、構成する判事が誰になるかは米国民の強く注目するところだ。米国の最高裁判事は終身制だけに、誰が選ればれたかはその後、長ければ20~30年にわたり最高裁判決に影響を及ぼしかねない。
 日本の場合は、大統領令に相当するものはなく、政令も含めて重要な政策は、全閣僚(全大臣)が出席する閣議という合議によって決定される。閣議には、内閣法制局長官も同席し、同長官が同意しない限り決定はできないので、昨年の安全保障関連法案のような一部例外はあるにしても、基本的には違憲の疑いが生じる決定が行われることはほとんどない。
 もっとも、日本でも特定の法律や制度について「違憲」の判決が出れば、廃止や改正、改革が行われるし、衆参両院で現在、選挙制度改革が議論されるのも、「一票の格差」を巡り最高裁が「違憲状態」の判決を出していることがある。
 ただ、最高裁など裁判官側も、上記のような政府決定の仕組みをよく理解していることもあって、あまり違憲判断を示そうとしない。それゆえに最高裁判事人事に関心が注がれることもほとんどないということになる。
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 さて、話は飛ぶが、安全保障関連法を巡り、日本では各地で違憲訴訟が起こされている。結果はどうなるか。違憲判決で法律無効とでもなれば、対米関係をはじめその影響は甚大だ。それだけに最高裁が違憲判決を出すとも思えないが、判決が近づいた段階で、日本でも最高裁長官や判事が誰でどんな人物なのにかに関心が集まるようになるかもしれない。
 実は最近でも最高裁判事の人事(の結果)に関心が寄せられたことがあった。現在の最高裁長官の寺田逸郎氏が決まった時だ。裁判官とは言いながら、実は法務官僚としての働いた期間が極めて長く、その行政官時代に与野党の国会議員との付き合いも多く、根回しなどにもたけている。そんな寺田氏が、先輩方を飛び越えて長官に就任した。見方は二つ。一つは政治の側が、自分たちと付き合いがあり、政府や自分たちに不利な判決を出さないだろうと思える人物を選んだ、首相官邸の意向に従う長官を官邸が選んだとの見方。もう一つは最高裁長官の前任者たちが、有力政治家も手玉にとれる策士を長官に据え、司法の独立をきちんと確保・維持できるようにしたとの見方だ。寺田氏の亡父も元最高裁長官であり、国政選挙の定数を巡る違憲訴訟で、毅然と違憲判決を出したといい、亡父のように毅然とした判決を出すのではないかとの推測もある。
 過去には吉田茂首相と近かった元学者で文部大臣なども務めた田中耕太郎氏が最高裁長官を務めた時代もある。日米安保条約や在日米軍が憲法9条に違反しないかが争点となった砂川事件に際し、田中氏が駐日米大使と密かに会ったり、判決において、政府にとって都合の良い「統治行為論」を持ち出したことは、今日多くの人が知るところとなっている。
 米国は動きが急だし、目が離せない。動きを見ながら、三権分立の意義やあるべき姿について改めて深く考えてみたい。