再訪。熊野古道なかへち美術館。

 

1998年開館。

 

SANAAが初めて設計した美術館(金沢21世紀美術館の設計で有名な方々です)。

 

 

 

ポストモダンや、バブル建築が姿を消していく中で、多くの建築家たちが明日の建築を「模索」していた時代。

 

これまでの積み重ねられてきた様式が崩壊し、バラバラになっていたとき。

 

そのバラバラのものを摘み取り、つなぎ合わせて一つに統合する(建築として成立させる)...。

 

ある意味その意思表明であるような気がします。

 

平面形はこんな感じ。


 

真ん中の大きな箱にバラバラの小さなボリューム群をくっつけて、建物を成立させようとしてるように見えませんか?

 

こうした平面形は、広い敷地の中にそれほど面積の大きくない建物を計画するときに有効だったりします。

 

ボリューム群それぞれの配置によって建物の顔をつくったり、景色を切り取ったり、見られなくてもよい裏方をつくったり、と。

 

実際、写真で見てみると分かるでしょうか。

 

 

エントランスの写真。

 

鳥が羽を広げたかような「人を迎え入れる」デザインのように見えます。

 

入口の扉から伸びる屋根も「ここが入口ですよ~!」って語っているように見えませんか?

 

 

お次は交流スペース。

 

ガラス越しにきれいな川が流れていて、自然とつながっているようです。

 

上の平面図で見ると壁がカーブしていますね。このカーブ線が延長しているとしたら...まさに自然に開いたかたちをしていると言えます。

 

実は交流スペースの天井もカーブの中心から外側のガラスに向かって天井に勾配がついているんです。

 

これも外部(川側)に目が行く要因の一つなんですね。

 

アクリル板の反射もいいですね。

 

アクリルって経年変化により少々伸縮したり、ゆがむ素材でもあるので(たぶん太陽の熱にやられるんだと思いますが...)、かえってそれが木々の「ゆがんだ反射」となり、自然と調和している空間のように思いました。

 

 

そして、最後は裏方。

 

建物のボリュームとボリュームの間が駐車スペースとして成立していますね。

 

 

 

熊野古道なかへち美術館へは、学生以来の訪問でしたので、より解像度を増して形態読み取ることができたと思います。

 

今日のSANAA建築に続く、「意思表明のような建物」という印象は、学生のころと同様に感じることができました。

 

深読みかもしれませんが、本当はボリュームの高低差もつけたかったのではないかな?と考えてしまいます。

 

この6年後。2004年に金沢21世紀美術館が竣工するんですよね。


 

この建物は高低差がバラバラのボリューム(展示空間)に対し、平面形ではそれらを内包させる低い屋根を架けて、一つの建物に見せる形態をしています。

 

「バラバラのボリュームをつなぎ合わせて一つに統合する」のが引き継がれていると思いませんか?

 

 

 

今日はここまで。ちょっと恣意的なことを書きすぎたかな。

 

ではまた、ごきげんよう。