阿部友子 -18ページ目

三菱一号館美術館 「ボストン美術館 ミレー展」


「種をまくひと」が有名なバルビゾン派の立役者、ミレーを中心にコロー、ルソー、クールベ等バルビゾン派の絵画を集めた展示です。

 代表作「種をまく人」は展覧会のフライヤーになっていて、「ミレーがまいた、本当の種とは」というキャッチコピーが。

 バルビゾン派(1830~1870頃)の時代は、産業革命の煽りでフランスでも新興階級の隆盛が著しく、彼らの都市での華やかな社交界と貧困層との暮らしとの格差、また都市と地方との格差が浮き彫りになっていました。

 そんな中、今まで絵画の背景でしかなかった風光明媚でもなんでもない普通の農村風景、ポーズもとらない質素な農村の人々という、当時としては画期的なモチーフに挑戦し、自然主義に繋がる大きな啓発になりました。

 学生時代、知識には有ったバルビゾン派ですがあまりの地味さに魅力をあまり感じられず、鑑賞する機会があっても素通り、という感じでしたが・・・改めて今見ると、「美」というものを根本的に見直すいい機会になりました。 

 原始から続く農牧等の営み、収穫の喜び、そんな飾り気の無い素朴な暮らしは時代お超えた人類共通の『美しい光景」で記憶の中の普遍的な「原風景」だと思います。都会の暮らしや人間関係の複雑な縺れを経験したからこそ。

 そういう「美」も、飾り創り込んだ人工の極みのような「美」も両方美しい。両極の「美」は時代を超えて螺旋のように循環しますね。心の中にも。

 キャッチコピーとおり種を蒔かれて、帰路につきました。


 展覧会は1月12日まで。