下落率2.5%、トランプ相場で最大

2018/02/03 07:36  日経速報ニュース    877文字  
 【ニューヨーク=山下晃】2日のダウ工業株30種平均は前日比665ドル安に終わった。ダウ平均に採用されている30銘柄すべて下落する全面安の展開となった。下落率(2.5%)でみると英国が欧州連合(EU)離脱を決める国民投票があった2016年6月以来の大きさ。トランプ大統領の政策に期待するトランプ相場の中では最大となる急な調整となった。
 市場の変調のきっかけは2日朝に公表された1月の米雇用統計だった。賃金上昇率が市場予想を上回ったと見ると米長期金利が急上昇(債券価格は下落)し、2.8%台に乗せた。トランプ大統領は「減税の結果で2018年は良いスタートを切った!」とツイートしたが、急激な環境の変化に市場は動揺した。
 米長期金利の上昇は、債券と株式を比べた時の株式の割安感を打ち消すものだ。すでに企業収益の伸びに対して株価が買われすぎているとの声が高まっていた。ドル高はドル建て取引の原油先物価格に割高感を生み、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が一時1バレル約66ドルから64ドル台まで急落する場面があった。
 2日にダウ銘柄で下落率が大きかったのは、朝方発表の四半期決算が市場予想を下回った石油メジャーのエクソンモービルとシェブロン。そろって6%前後下落した。本来なら金利の上昇は収益環境の改善につながるはずのゴールドマン・サックスなどの金融株や、このところ上昇が目立っていたボーイングなども2%安と大幅に下落した。
 ここ数年ダウ平均は目立った調整も無く上昇を続けてきていた。特に米税制改革が成立した後は上昇に拍車が掛かっていた。2日の大幅下落を考慮してもダウ平均はまだ年初から800ドル高い水準にある。あまりにも早いスピードで上昇を続けてきただけに「自然な調整だ」(米株ストラテジスト)との声もある。
 もっとも、米長期金利の上昇をきっかけに経済は強いが金利が低いという「適温相場」の構造の変化に対応する必要もでてきそうだ。米金利の一段の上昇に市場の警戒感は根強く、目先の株式相場を巡る不透明感が拭いきれない展開が続きそうだ。