豊嶋ブログから
NY商品先物取引所のフロアーで働く後輩たちに、直接、疑問をぶつけてみた。
NY商品先物取引所のフロアーで働く後輩たちに、直接、疑問をぶつけてみた。
結論からいうと、まだ、原油急落の記憶が強く残っている。今の上げを信じられない。アルゴリズム売買も、売りに反応しやすい。取引所フロアートレーダーも、短期売買に徹している。ここで短期とは、数時間から数十時間のスパンである。
したがって、株価・外為市場の視点でも、トレンドが見えない。
今の原油先物買いも、空売りの買戻しが主体で、40ドル近傍からの新規買いの仕掛けはなかなか出てこない。
それゆえ、持続的原油高は覚束ないので、円高や株価への影響度も、限定的になるのだ。
「アナリストは、原油価格シナリオA、B、Cと並べるだけだが、トレーダーは、その中から特定のシナリオに賭けねばならない。確信を持って、シナリオXと決め打ちして売買することが難しい状況では、超短期売買を繰り返すしかない。」と現場の人間は言い切る。
価格動向を決めるのは、最前線で働くトレーダーたちの決断次第、というのが実態なのだ。
その結果に対して、後講釈で説明するのがアナリストの仕事。
なお、最前線のトレーダーたちが注目する判断材料の一つに200日移動平均線がある。直近の価格は、いま、まさに突き抜けるか否かの微妙な水準だ。昨年からは、一貫して、200日移動平均線を下回ってきた原油先物価格ゆえ、大きく上にブレークしないと、トレンド転換とはならない。
総じて、OPEC、シェール関連から強弱材料が、日替わりで出てくる状況では、まだ方向性は固まらない。
最大公約数としては「40ドルは高いが35ドルは安い。」という相場観がNYMEX最前線では聞かれる。
中期的には、やはり、100ドル台から現水準までもっぱら空売りで儲けてきた記憶が鮮明に残るので、生産凍結非合意などで、一気に売り込まれるリスクが相対的に高い。
NYMEXトレーダーたちに50ドルか30ドルかと尋ねると、圧倒的に30ドルが多かった。しかし、アナリストに尋ねると、五分五分という「保険をかけた」見通しが語られる。
原油市場を取り巻く環境が極めて不透明ゆえ、原油価格動向もトレーダーの決断の重要性が増している。
知識が多ければ相場に勝てるわけではない。
事実、フロアートレーダーの多くは高卒だが、あれやこれや考えず、割り切って決断して実行に移す。
自分が原油の空売りに走っているとき、メディアのインタビューに呼ばれると、表情を変えず強気論を語るしたたかな連中でもある。
エクセルのスプレッドシートばかり見て、相場を語る人たちが、おそらく接することのない世界なのだ。
そして、金は原油と同じく急騰。
一時は、原油安でリスクオフになり金が買われるという異なった動きを見せていたが、原油高になると、素直に金も連れて上昇する関連になる。ちなみにプラチナが200日移動平均線を上回りつつある状態。