円相場、幅広レンジで綱引き 「92円台リスク」残る神経戦 |
2013/06/17 13:01 日経速報ニュース 893文字 |
週明け17日の東京外国為替市場で円相場は反発して始まった後、じりじりと上げ幅を縮小し1ドル=94円台後半を中心に推移している。薄商いの中、為替ディーラーの思惑が主導する展開となった。
「もうけにくい相場展開だ」。国内銀行のディーラーはこう話す。円相場は6月上旬に100円を突破し、前週には93円台後半まで急伸した。幅広いレンジ内で推移しているため先を読みにくく、持ち高を一方向に傾けることが難しい。 外貨建ての投資信託では「個人投資家の損失が出ている」(信託銀行)との声が聞かれる。外国為替証拠金(FX)取引でも、含み損を抱えた個人がどのタイミングで決済に踏み切ろうかと模索する様子がうかがえる。 ある店頭FX会社では前週11~12日、円が心理的な節目の95円ちょうどより安い水準で取引されていたときに、目先で円が反落すると見込んで円売り・ドル買いを仕込んだ個人が多かった。その後、個人の思惑は外れ、円相場は93円台後半まで上昇した。円売り・ドル買いの比率は円とドルの売買の総建玉の8割を占めていて、足元でも高止まりしているという。 同社は「円が95円50銭から96円ちょうど程度まで下落すれば、含み損が解消されるため、決済の円買いが増えるだろう」と分析する。円の下値を堅くする要因になりそうだ。 一方、市場では「週足でみた一目均衡表の基準線が位置する93円60銭近辺で円の上値が重い」(国内銀行)との声が聞かれる。ドルの割安感から円売り・ドル買い意欲も出るようだ。 しかし「日銀が大胆な金融緩和策を導入する前の水準である92円台後半を上抜ければ、心理的な節目とされる90円ちょうど程度まで円買いが加速するリスクも残る」(国内証券)との指摘も出ている。 市場の注目が集まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を18~19日に控えて、方向の読めない円相場の動きが予想される。安倍晋三政権も「7月21日投開票の参院選や、その前哨戦とされる東京都議会議員選を控えて、金融市場の動きへの対策はとれないだろう」(同)。市場参加者は円を売るべきか買うべきか、綱引きの神経戦が続きそうだ。( |