今日の株式、大幅続落か 円高と欧米株安で1万3000円を挟む攻防に

2013/06/12 07:56 日経速報ニュース 1245文字
 12日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続落か。日銀が11日まで開いた金融政策決定会合で長期金利の上昇を抑える追加策を見送った余波で欧米の株式相場が下落するなど、運用リスクを回避する姿勢が強まっている。外国為替市場で円相場が大幅上昇していることも自動車など主力株への売りを誘う公算が大きい。日経平均は心理的な節目である1万3000円を挟んだ攻防となりそうだ。
 前日の米株式相場は続落し、ダウ工業株30種平均は前の日に比べ116ドル安の1万5122ドルで終えた。投資家の運用リスク回避姿勢が強まり、金融やエネルギー関連を中心に幅広い銘柄が売られた。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の日経平均先物6月物の清算値(円建て)は1万2980円と、大証の日中終値を400円下回った。朝方は同水準を意識して日経平均は1万3000円を下回る場面がありそうだ。
 早朝の外国為替市場で円相場が1ドル=96円を挟んで推移していることも、日経平均を押し下げる要因になる公算が大きい。前日のニューヨーク市場の円の高値は95円59銭と、94円台を付けた7日以来の円高水準を付ける場面があった。主要な輸出企業の業績予想の前提である95円が迫っており、輸出採算の改善期待が一段と後退すれば主力株に売りが膨らみそうだ。
 市場の一部で日銀が金融機関に低利資金を貸し出す共通担保方式の資金供給オペの期間を延ばすとの期待があったが、黒田東彦総裁は会合後の記者会見で「必要ないという結論に達した」と説明。従来の政策手法の弾力的な運用で、長期金利の変動を抑制することが可能との認識を示した。前日に下落した債券相場の動揺が12日も続くようだと、株式市場でも投資家のリスク回避姿勢が一段と強まる公算が大きい。
 もっとも、市場では追加策の見送りは日銀が目指す株式や銀行貸し出しへの資金移動を促す上で妥当との評価も多い。黒田総裁は2013年末の保有残高の目標に近づいている不動産投資信託(REIT)について「上限ではない」と述べた。前日に反発したREIT指数が落ち着いた推移となれば、株式相場を下支えする可能性が高い。
 12日付の日本経済新聞朝刊が「政府は企業支援税制の一環として、法人が特許の使用料など知的財産を活用して得た所得への課税を軽減する制度の検討に着手した」と報じた。主要国に比べ高いとされる法人実効税率の引き下げに向けた動きが加速するとの思惑が広がれば、押し目買いを誘う場面も想定される。また、同日付の日経新聞では「金融庁は、金融機関への投資家の責任を厳しく問う新しい制度を導入する」と報じており、銀行株への影響も注目される。14日の株価指数先物の特別清算指数(SQ)算出を前に指数主導で荒い値動きが続きそうだ。
 12日は日銀が5月の企業物価指数を、内閣府が4月の機械受注統計を発表する予定。海外では4月のユーロ圏の鉱工業生産や5月の米財政収支の発表が予定されている。〔日経QUICKニュース(