インタビュー:黒田日銀、臨時含めた早期の追加緩和カギ=中原・元日銀審議委員

ロイター 3月15日(金)18時56分配信
[東京 15日 ロイター] 元日銀審議委員の中原伸之氏は15日、ロイターのインタビューに応じ、20日就任する日銀の黒田東彦新総裁について「臨時の金融政策決定会合の開催を含め、どれだけ早く追加緩和に踏み切れるかがカギ」と指摘した。

一方、金融政策の決定に必要な「審議委員の意見集約は容易でない」として金融緩和の枠組みを大幅に変えるには一定の時間がかかる、とした。

中原氏は「黒田氏というリフレ派の総裁が就任することは歓迎する」としつつ、「1)どれだけ早く、2)新たな金融緩和手段について、3)審議委員のコンセンサスを得られるかがカギ」と課題を列挙した。政策決定には9人いる審議委員で過半数の賛同が必要だが、「突然、白から黒へ意見を変えたら見識が問われる」とし、多数派工作には時間がかかると指摘した。

また日銀は黒田氏が現在総裁を務める「アジア開発銀行(ADB)と比べはるかに複雑な組織」として、新たな政策を遂行するため事務方の掌握が不可欠と指摘した。

副総裁に就任するリフレ派の代表的論客である岩田規久男・学習院大教授については、「採決で1対8で否決され続けでも自説を曲げずに大胆な緩和提案を続けて欲しい」と強調した。

新たな政策手段として中原氏は、金融政策の変数を基金から当座預金の残高に変更するとともに、「当座預金残高を現在の38兆円から50兆円、最終的に100兆円に引き上げるべき」と提案した。そのため毎月の国債買い入れ額(現在1兆8000億円)の3兆円増額、買い入れ国債の年限延長が必要との立場だ。

中原氏は日銀による毎月1兆円程度の外債購入も提唱。ただ黒田氏は為替政策を政府に一元化したい財務省出身のため実現性は少ないとみている。中原氏は「日銀の外債購入は為替介入と違う」ため、日銀による外債購入の可能性を否定しない「安倍晋三首相の姿勢は正しい」と評価する。

今後の金融緩和強化により「1ドル105円程度までの円安、日経平均株価で1万4000円程度までの株高が進む余地がある」との見方も示した。

(ロイターニュース