それは、一昨年末の事業仕分けの対象に上がった「広報施設の有料化」に代表される、政府や政治家自身の
国防意識の希薄さである。
そもそも、我が国の国防は、二十数万人の自衛官のみで全うできるものではなく、自衛隊は国防の第一線として
先駆け的存在に過ぎない。
自衛隊の広報は、そのような自衛隊の存在意義を正しく国民に伝え、なおかつ国民の国防意識を高めることで
ある。
『事業仕分けは、そのための重要な施設である広報館を、アミューズメントパークと同列に捉え、入場料を徴収
するなどという愚を犯そうとしている。筆者も、数少ない経験ながら、米、仏、中などの軍事広報施設を見学したこ
とがあるが、料金を徴収する施設に出会ったことはない。
料金とは、サービスの対価である。自衛隊施設を有料化するということは、払う側は、自衛隊が行う活動を当然の
サービスとして要求できることに加え、自衛隊と国民が遊離する状態を作ることになる。
30年も前になるだろうか。「あなた作る人、僕食べる人」という某食品メーカーのコマーシャルで、女性の権利擁
護団体から顰蹙を買ったものがあった。
広報施設の有料化は、一見他愛もないものに感じる向きもあるが、本質的には、政府 が「あなた(自衛隊)守る
人、私(国民)守られる人」という立場を公に認め、一般国民に対して「国防」という義務を放棄させることにつなが
りかねない愚挙と言える
(もっとも、憲法で国防の義務が謳われていないことが根本の欠陥ではあるが)。』
まさにこの論者の申すとおりであり広報施設の有料化は自衛隊の品位を貶める愚挙愚論の局地であり、単にそ
れのみならず国防意識の希薄化を固定するような、危険性をはらんでいるとも言えるでしょう。