目覚めたら、シャワーだろ、まず。
出発日と到着日のばたばたで、寝てなかっった40時間プラス爆睡してた時間で50時間以上お風呂に入ってなかったってことでもあるし。
今何時だ?
廊下の壁の時計を見る。
11時。午前か午後か?多分明るいから午前。
シャワーは、簡単に見つかった。
スーツケースから新しい下着とタオル、石鹸、その他いわゆるお風呂セットにあたるものだけを取り出した。
シャワーを浴びたら、お腹が猛烈に減ってきた。
新しい下着の肌触りが気持ち良い。
シャワーのあと、昨日上がってきた階段を降りて一階に行った。人の声が聞こえる。
聞こえるのは英語ですね。当たり前ですけど。
キッチンとおぼしき場所に入っていったら、昨夜の家主のジェレミーさんと、若い女の子がいた。
「ハーイ!あんたが雪子ね。わたしは*****よ。」
肝心な名前が聞き取れなかった。
「失礼ですが?」(Excuse me?)
「カースティンよ。」
今度は聞き取れた。はい、よろしく、よろしく。
ジェレミーさんも話しかけてくる。
「よく眠れたか?なんか飲むか?」
飲むとも。「Yes.」
かくて、冷たいミルクをゲット。
すこし生き返る。
ぷはー「Thank you very much.」
ジェレミーさんは言う。
「お前、食べ物いるだろ?あとで買い物に行くけど、一緒に来るか?」
行くとも。「Yes.」
そして、冷蔵庫を開けて彼は言う。
このの棚一個開けた。ここがお前の場所ね。
バスルームは解ったみたいだな。カースティンと共用だから、使うたびに使った人が綺麗にしておく決まりだ。
食器はここで、使ったら洗っておくこと、あれこれ、あれこれ。
真面目な性格なんでメモとっていいすっか?ってなる。
手近な新聞の端っこにそこにあったペンでメモった。
カースティンは16歳くらいに見えたけど、12歳だって。驚き。しかもジェレミーさんの娘とか。
ふうん。
こっちも訳ありっぽいな。離婚ですか。
興味ないけど。
今日の目標は、
1、食料の確保、買い物できる店を覚える。
2、荷物の整理
スーパーに連れていってもらった。
ひょええええっというほど、大きかった。子どもの頃、見たことあったから大きいとは覚えてたけど、それでも驚いた。やっぱ、アメリカにおるんですね。わたし。
店はなんかセロリとチーズみたいな匂いがする。
大きなカートを押して行く彼らの後を、カゴをもってひょこひょこついて歩いて、パックのミルクとベーグル、卵とレタスなんかを買った。
しかし、この店は歩いて来るにはちょっとあるなあ。1時間はかからないけど、30分以上かかりそうだな。
目標、1、ほぼ達成。
目標、2、に向かって自室でスーツケースを開ける。荷造りしたのはほんの一昨日なのに、1枚1枚たたんでスーツケースに入れて荷造りをしてた自分と今の自分にすごい距離を感じる。
ふわあ、と家の洗剤の香りが立ち上った。まあくんの顔を思い出して、また黒雲につかまってしまう。心細いのと、寝不足と時差ぼけのせいにして、泣きたかったからすこし泣いた。
就職の面接は、来週に、二回、その次の週に二回、設定してある。それまでに時差ぼけを脱して体制をたてなおさないと。
自室の荷物の整理はできなかった。
なんか臭いし、掃除しないことには荷物出せないよ。これは。
ジェレミーさんに、掃除道具を借りて、掃除機をかけ、あちこちをタオル1枚を犠牲にして、異国の匂いがふんぷんのクリーナーをスプレーして拭いた。
そこで力尽きた。
夕食には卵をオムレツにしてベーグルと食べた。
ふむう。しかし、臭さの元はカーペットとベッドだ。
部屋中敷き込んだカーペットは時間かかりそうだけど、ベッドのシーツや布団なんかは買い換えよう。
誰が寝たんだろうか。マットレスのスプリング、真ん中がへたってる。これも買い換えよう。
しかし、今日はしかたない。これでもあるだけまし、と思って寝よう。
当たり前だけど、いろいろ考えてしまって寝付けない。
夜は魔の刻だ。