幸福実現党 総務会長(兼)出版局長 やない筆勝公式サイトから転載

日本も先の大戦では「情報戦」で負けていた!
 スペインだけではありません。実は日本も、先の大戦で「情報戦」で負けていました。
 これは「田中上奏文」と言われる文書です。
田中義一首相
 田中上奏文は、田中義一首相が天皇陛下に行った上奏文とされます。その中には、「大日本帝国はこれから全世界を侵略します。手始めに満州、次に中国、さらに東南アジア、オーストラリア、そしてアメリカも日本の領土にし、日本が全世界を支配するのです」という内容が書かれていました。
 もちろん、日本にとってはまったくの寝耳に水。
 
 この田中上奏文の写真をよく見てください。何かおかしいとは思いませんか? 日本の首相が天皇陛下に送った文書なのに、なぜ日本語ではなく、中国語で書かれているのでしょう?
この田中上奏文は、中国が勝手に作った偽書(怪文書)だったのです。
 中国は、田中義一氏が死去した昭和4年ごろから、自分たちでねつ造したこの「田中上奏文」を反日宣伝に利用しました。10種類の中国語版が出版され、組織的に大陸各地で流布されたほか、英語版「タナカ・メモリアル」が昭和6年、上海の英語雑誌『チャイナ・クリティク』に掲載され、同誌から転載された小冊子がアメリカ、欧州、東南アジアに配布されました。
  
<世界で発行された TANAKA MEMORIAL>
 また、ソ連に本部のあるコミンテルンも同年、雑誌『コミュニスト・インターナショナル』に全文を掲載し、ロシア語、ドイツ語、フランス語で発行。あっという間に、「日本は、世界征服を企むきわめて危険な国家である」というレッテルを貼られ、世界中がそれを信じ込んでしまったのです。
そして、日本はついに国際連盟脱退へ
 満州事変後の昭和7年、中国はジュネーブで開催された国際連盟理事会で「田中上奏文」を持ち出し、そのシナリオ通りに満州で侵略が起きていると訴えました。
顧維鈞
 もちろん日本は、「田中上奏文は偽物である」と国連の場で反論したのですが、中国代表の顧維鈞(こいきん)は、
「この文書が本物かどうかが問題なのではない。「田中上奏文」にある政策は、日本がいま進めている現実の政策そのままではないか。これをみれば、田中上奏文が真実であることは明白だ」
と主張し、日本は国連での論争に負けてしまいました。
 中国は、「日本は世界征服をもくろんでいる」と強調することで、国際世論に日本の不当性を訴えたのです。
 その結果、日本は当時、国連の常任理事国であったのですが、その地位を捨て、国連を脱退せざるを得ない状況に追い込まれました。日本は孤立の道を余儀なくされ、やがて日中戦争から大東亜戦争へと突入していったのです。
(続く)