そろばんをやっている時、意識は強制的にそろばんに
集中しています。

と、同時に、そろばんの珠を動かす動作は、
頭の中でも、手の動きに先行して、珠が動くイメージが、
繰り広げられています。

すなわち、

イメージと計算

この2つを組み合わせることで、
思考のシェアが、他に余白のないくらいに
占領されるのです。

脳が集中しているとき、
特に、脳内に、あるイメージを描いているとき、
アルファ波が出やすいと言われています。

これは、予期不安とよばれる、
よくないものごとが起きることを想像して、
不安感を覚える症状が、
パニック障害を抱えた方にみられますが、
この予期不安を起こさない効果があるといわれているの
です。

なぜなら、
パニック障害を抱えた方の脳は、
予期不安が発生したときには、ある特定の場所が活性化
するという現象が見られますが、
そろばんをしている時には、
そろばんの珠の動きのイメージに合わせた
イメージをつかさどる脳の領域が活性化するので、
予期不安時に活性化する脳の領域が沈静化するのです。

脳は、ひとつのことしか集中できない、という特性を
持っています。
この特性を利用して、
強制的に、集中力を、そろばんに向けることによって、
予期不安を抑制することができるのです。

でも、
予期不安って、
いつどこで、襲ってくるか分からない、
ということが、
そもそも、予期不安である。
と思っていることと思います。

その通りです。
家の中ではうまくいったとしても、
外出中に、突然、不安に襲われたとき、
手元に、そろばんがないことが、不安を助長する、
ということが心配ですよね。

だから、そろばんが最適なのです。

ということを、これから説明したいと思います。

集中力を、何かに向けて、それに没頭する、
ということでしたら、
その対象は、
例えば、ゲームとか、
例えば、本とか、映画とか、楽器演奏とか、
でもいいわけです。

それらは、スマホアプリでも、
できることですので、
外出中でも、常時スマホを携帯する習慣があれば、
問題ないといえるかもしれませんが。

でも、
スマホを取り出し、
ロックを解除し、
アプリを開く
パニックに陥ったときに、
普段はなんでもない、簡単な動作が、
滞りなくできるかどうか。
焦ることが、よけいに不安な気持ちを増幅させる
ということになるかもしれません。

じゃあ、そろばんなら、そもそも携帯していないのに
どうするの?
ということですが。

そろばんで珠を操作するときの一連の動作は、
まず、脳の中のイメージとして、描かれたあと、
実際に、指の動きとして、連携されます。
ですので、
普段通りに、脳のイメージの中で、
珠を動かすことによって、
強制的に、集中力を、珠を動かすイメージに占有させる
ことができるのです。

これによって、
予期不安に当てられる脳の領域は沈静化され、
イメージと計算処理を融合させて集中することにより、
アルファ波状態の平静な心の状態が維持できるのです。

やり方はとても簡単です。

頭の中にそろばんを思い浮かべて、
1から10までを順番に足していきましょう。
そろばんをはじく珠の動きをイメージして下さい。
そろばんの珠を動かして、
その珠の位置を覚えて、
また動かします。

最後に、答え合わせをして下さい。
全部足すと55になるはずです。
最終的な珠の位置が、55になっているかチェックして
下さい。

最初は、動かした珠の配置がなかなか覚えられず、
2桁の繰り上がりなどは混乱するかもしれません。

でも、落ち込む必要は、まったくありません。
イメージが苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、
それでも、大丈夫です。

目的は、予期不安を起動させないことですから、
思考のシェアが、他のことに占められていれば、
いいわけです。
イメージの中で珠を動かしているかぎり、
予期不安から逃れることができます。

気がつけば、予期不安のことなど忘れている、
ということになっているでしょう。

ぜひ、一人でも多くの方が、
そろばんの効用をご実感され、
人生を一歩、前進されることを願っています。