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【BAROQUE】1

*ヴィンギル小説。(設定:17,18歳頃)

*R18・薬ネタ。






華麗に咲き、華麗に散る。

甘美に笑い、甘美に啼く。

それはまるで、歪んだ真珠の如く――



BAROQUE】1―base―



「ねぇ兄さん、ゲームをしない?」

黒い薔薇の庭園で、弟は兄に告げる。

ちょきん。と薔薇の茎の切れる音が鼓膜に響いた。

「・・・どんなゲームなんだ?」

彼の長い金髪が風に靡き、黒い花弁が舞い上がった。
「兄さんも、・・・ギルもきっと悦ぶゲームだよ」

「・・・俺が喜ぶ?」

「そう。でも取り敢えず、薔薇を摘んでから・・・ね?」

綺麗に笑う弟。

ギルバートはその微笑に、言いようのない戦慄を覚えた。


摘んだ薔薇を篭に入れ、二人はヴィンセントの部屋に戻った。

「―――それで、何をするんだ?」

「うん、ちょっと待ってて」

ヴィンセントは紅茶を淹れたカップを手に席につく。

ギルバートはカップを受け取り、仄かに甘い香りのするそれを口に含んだ。

「ルールはね、すごく簡単なんだ」

向かいに座り説明を始めた弟に兄は目を移す。

彼はポケットから眺めの黒いリボンを取りだした。

それは正式な場で髪を結う時に使っているもので、ギルバートも揃いの

物を持っている。

「ギル、これで目隠ししてくれる?」

「・・・・なに・・・」

立ちあがり自分の後ろに回ったヴィンセントを振り返ろうとするが

手早く視界を遮られてしまった。

「おいっ――何をする気だ!」

「心配しないで・・・怖くないから」

「ヴィン・・・・・ス・・・・ッ!?」

(身体が・・・熱い・・・っ)

芯が疼くような感覚。

前触れもなく、熱に浮かされたように頭の中がぼぅとして来た。

暗闇の中で助けを求める様に手を伸ばす。が、それも空をかいて

身体が椅子からずり落ちた。

「・・・・・痛ッ・・・ぅ」

「大丈夫?」

「おま・・・・え、何か・・・したのか・・・!」

「ふふ、さっきの紅茶に少しだけ・・・ごめんね?」

悪びれた様子は無い。彼にとってはコレも『遊び』の一つでしかないのか。

ヴィンセントは床に落ちたギルバートを背後から抱きしめた。

そのまま前に回した手でスカーフを抜き取る。

「――――!」

「ギルはカワイイね・・・でも、そんなに怯えないで――」

肩口に顔を埋め、ヴィンセントはギルバートの耳を舐めあげた。

「―――ッア!」

微量の電気が全身を駆け巡ったかのような刺激に

思わず声が上がってしまった。咄嗟に遅いと知りながら手で口を押さえた。

「へぇ・・・もう効いてるんだ。目隠しをすると全身が神経を使うから、余計かな。

 ・・・・・すごく敏感になるんだよ」

ギルバートの頬は上気し紅く染まりつつあった。

その身体を起こそうとするが、その手に払われる。

「さ、触る・・・な!」

身をよじりわが身を抱くようにして彼は弟から距離をとる。

「そんな事言っても、一人じゃ処理出来ないでしょう?」

「うるさ、い・・・・・・・・っ!」

ヴィンセントは兄の手を引き無理やり立たせた。

ふらつく彼の身体を支えながら目隠しをする兄の頬をとらえ

その唇に自身のそれを重ねる。

「・・・・・ふっ・・・・・・ん、ぅ!」

貪るようなキス。その舌は躊躇うことなくギルバートの口内に侵入し

歯ぐきをなぞり、舌を絡めて酸素を奪っていく。

「やめ・・・・・っ!・・・・・ぁ・・・」

唇を離せば互いの間を銀の糸が繋いでいた。

ヴィンセントは力なく寄りかかって来たギルバートを受け止め、

その耳元に甘く、吐息のように囁いた。

「――さぁギル、ゲームを始めようか」


ギルバートはその言葉に、弟に恐怖を覚えながらも、

その先に待つ刺激を期待せずにはいられない。

ただ一刻も早くこの熱から解放されたかった。

欲に背を押され、手を引かれるままに、彼は歩み出す。


―――虚ろな思考の奥で、彼は扉の開く音を聞いた。





【BAROQUE】1―Base―




≫base=卑劣な行為