Funeral Wreath -287ページ目

【君を呼ぶ日】

*「偶にはこんなのもアリじゃない?」計画

*ギルバート×オズ








『貴方の名前を呼ぶ』


ただ、それだけ。





を呼ぶ日】





2月14日。今日は愛を捧げる日。


正直な所、事に浮かれるつもりは毛頭無い。

メーカーの商戦に乗せられる事なども無い。

例え今台所でチョコレートを湯煎していたとしても、だ。


元の形状を崩しとろとろと溶けていくチョコレートを

眺めながら、俄かに湧きたつ街の声を聴く。

「・・・・・」

もう少し静かにならないものか、と思う。

隣のリビングでは主人である少年が休息中である。

今日は折角厄介者が居ないのだし、偶には休ませて

やりたい気持ちでいっぱいだ。件の厄介者達には

自分もヘタレだのワカメだの散々に言われているが、

今日までそんな言葉に汚染されてやることは無い。


そんな事を脳の隅の隅で考えながら、

チョコレートに生クリームを加えて冷蔵庫へ入れる。

冷やしている間に片付けとラッピングの準備を。

一仕事終えたところでコーヒーを淹れ、カップを片手に

リビングへ戻ると彼はまだ静かな寝息を立てている。

暖炉の火はパチパチと音を立てて

部屋を快適に保ち続けてくれていた。

カップをソファの前のテーブルへ置き、穏やかに眠る

主人の寝顔を眺める。少年特有の柔らかそうな金髪が

目蓋にかかっていて、それを除けようと手を伸ばす。

「・・・・ん、」

指が触れると、彼は目を瞬いてぼんやりとした

翡翠の瞳で此方を見た。

「オズ」

「・・・・・甘い、香り・・・・?」

その言葉に微笑んで返すと台所へと戻った。

冷蔵庫から出したトリュフを一つ摘まんで味見する。

納得の味と確認した所でラッピングを施し再びリビングへ。

「―――ギル」

彼が自分を呼ぶ。真っ直ぐな瞳を向けて。

此方は黙ったまま手にした包みをテーブルに置いた。

途端、屈めた自分の首に絡む細い腕。

ソファに沈む彼の輪郭をなぞる様に掌で包みこみ、

戯れる様に軽く唇を触れてから舌を絡めた。

「オズ・・・?」

「ふふ、・・・・甘い」

くすくすと笑い、再び腕に力を込める幼い彼。

―――嗚呼、やっぱり






『アイシテル』の言葉はキスに託して。






を呼ぶ日】―end―






『バレンタイン』は告白の口実。













≫「偶にはこんなのも~」計画第1弾。

(ただし2がある保障はない)

余りの短さにびっくりですよ(本人が