【唐草模様】OG.ver
*オズ×ギルバート
*シリアス
『友情』を繋ぐ糸
『愛情』を繋ぐ糸
『理性』を繋ぐ糸
最期に残るのは『XXX』
【唐草模様】
赤い絨毯に広がる花弁は紅の薔薇。
ひらめくシルクはドレスの裾で、
耳に良く透る音は舞踏の曲の様だ。
――ビチャッ――
否。靴が埋もれているのは絨毯等ではなく、ましてや舞う布は華やかな
衣装ではない。聴こえていた音はとても楽しめる内容ではなかった。
足元に広がる血の湖と転がる肉片。
断たれたそれ等の衣服が風に舞う。
絶命の叫びは耳にこびり付いて離れない。
(嗚呼、気持ち悪い――)
「―――オズ!」
重力が小さな身体を押し倒そうとした時、不意に浮遊感が訪れた。
懐かしい、しかし血に汚れた顔がそれは心配そうに此方を覗いている。
何をそんなに心配しているのかと微笑もうとして、何も見えなくなった。
――コトン。――
びくりと身体が震え飛び起きた。
それに気付いた男がこれまた同じようにびくりとして此方を見た。
瞬間、その顔に安堵が広がった。
「よかった。気付いたのかオズ」
彼は手にしていた(水をかえたらしい)花瓶を置いて額に触れてきた。
「・・・まだ駄目だな、もう少し寝ているといい」
穏やかな声に幾らか気分が楽になる。
高鳴っていた鼓動が落ち着いて行くような気がした。
「―――ギル」
席を立とうとした彼の名を呼ぶ。
振り返ったその袖を掴み油断していた身体をベッドに引き倒した。
「―――――!」
あっけなく倒れた身体に身を翻して馬乗りになる。
咄嗟の事にも関わらず、主に対して抵抗をしなかった事に感心しつつ
鼻の先が触れあいそうな距離に顔を寄せた。みるみる内に赤くなるその顔に
思わず苦笑が漏れる。
「オ、」
「うつしてやろうか?」
笑みを潜めて金色の瞳をみつめた。
垂れた前髪が彼の目蓋に触れ、彼は目を閉じた。その目蓋を舐めてやる。
そこに微かにしょっぱさを感じて眉を顰めた。だが今はそれに触れず、固く
閉じている唇に自分のそれを重ねた。軽く啄ばむだけでそれ以上は触れない。
襟の空いた隙間から鎖骨が覗いていた。
プチプチと釦を外していけば、大きな切り傷が顔を出す。
(―――ごめんね)
これ以上は癒えない傷跡に謝罪を込めて舌を這わせた。
「・・・・ギル?」
両目を腕で塞ぐ彼に動きが止まった。
そっとその腕を退けてやると目元を腫らした顔が現れる。
「泣いてんの?」
「・・・・・何でも、ない」
どうして明らかに嘘だと分かるにも関わらずそんな事を言うのか不思議だ。
溜息を一つつき、濡れた頬にキスをする。先程と同じ塩味がした。
「じゃあ、先刻のは」
「さっき?」
「俺が起きる前」
彼は口を噤んだ。瞳の中が揺れている(ここまで解り易いのは逆に罪だろう)
「言って?」
「・・・お前が、・・・・」
言い辛そうだった。だが辛抱強くその先を無言で待ち、促す。
「倒れる前に、あんまり・・・綺麗に笑うから」
「―――?」
「死ぬかと・・・・思った・・・んだ」
成程、と思う反面で不思議でならなかった。綺麗だと死ぬのだろうか?
「ていうか、男に綺麗って・・・」
「う、うるさい」
弱々しい声を発しながら手元のシーツを引き寄せて埋もれてしまった。
呼びかけてみるが頑として出てくる気は無いらしい。無理に引き出すのを
諦めた時、先程彼が持って来ていた花瓶が目に入る。
ベッドから手を伸ばして小さな紫の花を一輪手に取ると、甘い香りがした。
「――――ねえギル」
「・・・?」
「綺麗な『都忘れ』だけど、今度ユリを持ってきてくれる?」
「どうして―――」
彼はシーツから怪訝そうな顔を出して此方を見た。
それを見て、今度こそ微笑んでやった。
「綺麗だから」
【アラベスク】―END―
*パラジクロロベンゼンを聴きながら。
*二回目の理由は皆さんに委ねます。