ヤフーニュースを見て介護業界の苦境を改めて認識させられた。
朝日新聞の記事を引用する。「長野県安曇野市の特別養護老人ホームで、女性入所者(当時85)がおやつをのどに詰まらせ、1カ月後に死亡したとされる事件があった。長野地裁松本支部(野沢晃一裁判長)は25日、食事の介助中に女性に十分な注意を払わなかったなどとして、業務上過失致死の罪に問われた長野県松本市の准看護師山口けさえ被告(58)に、求刑通り罰金20万円の有罪判決を言い渡した。」
当時の詳しい状況などは分からないが、入所者がおやつを喉に詰まらせたことを介護士の責任にするというのは酷な話ではないか。
高齢者は食べ物を飲み込む能力が低下するが、だからと言っておやつを流動食にしたり、細かく切ればいいというものでもないし、一人で複数人の入所者を見なけばならない現場では、ずっと一人に対応することは出来ない。
このような判決が出てしまうと、介護の現場が委縮する可能性もある。ただでさえ介護業界は賃金も安い上に重労働で成り手が少ない。その上に訴訟のリスクまで背負うとなれば、益々介護業界に就職しようという人は減るだろう。
そういう意味で、この判決が妥当なものだったのかという疑問が残る。
高齢化が進む中で、施設に預けられる高齢者は増加していくが、預ける家族の側も、全ての責任を施設側に押し付けるというスタンスは止めた方がいいだろう。