純は、事のすべてを雅史に話した。
『なぁんだ そんなことか』
『俺たち配達員には、よくあることだよ』
『でもな、相手はお客さまなのだから、配達以外の目的で会ったり、話したりしちゃダメなんだよ』
『もしもそこでトラブルにでもなったら、会社に迷惑を掛けてしまうことになるから』
『諦めてしまいな』
雅史は純を諭した。
『でも、どうしても会いたいんです』
『朝も、昼も、夜も・・・あの娘のことで頭がいっぱいになるんです』
『なんにも手につかないくらいに・・・』
『そっか かなり重症だな』
『で、その娘と会って、純はどうしたいんだ?』
『どうしたいって・・・』
『ただあの娘の生活振りを見ていたいんです』
『今は、会っても、なんて話したら良いのか分からいですし・・・』
『もしあの娘が、僕を気に入ってくれたら、お付き合いを申し込もうと思っているんです』
『そして、僕は、あの娘と結婚して、幸せな家庭を築きたいのです』
『そっか・・・』
雅史は腕組みをしながら暫く考えていた。
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